経済・ビジネス

ユニコーン企業はわずか6社、日本のスタートアップはなぜ育たないのか――経産省指針を巡る3つの論点

2026年6月26日


<span>ユニコーン企業はわずか6社、日本のスタートアップはなぜ育たないのか――経産省指針を巡る3つの論点</span>
「ヘクトコーン」にくくられるOpenAIは今年上場が見込まれる (C)REUTERS/Dado Ruvic/Illustration/File Photo

実質的にIPO(新規株式公開)に限られていたスタートアップの出口戦略を多様化させようと、経産省は5月、スタートアップを巡るM&Aの指針をまとめた。“小粒上場”を減らし、市場を活性化させる側面は一定程度はあるだろう。だが本質的な課題は別のところにある。成長のエコシステムを築くために目を向けるべきは、「目利き」と「振付師」の存在だ。

スタートアップをめぐる「目利き」「振付師」の欠如

「ユニコーン」という言葉は聞いたことがあろう。創業10年以内のスタートアップのうち、評価額10億ドルを超す非上場企業を指す。世界ではそれどころか、評価額100億ドル以上の未上場企業「デカコーン」、同1000億ドル以上の「ヘクトコーン」という企業まで出てきている状況にある。

 翻って、日本はどうか。2026年3月現在、日本のユニコーン企業としては生成AIの代表的な会社として知られるSakana AI に加え、Preferred Networksやスマートニュースなど6社にとどまる。

 政府も手をこまねいているわけではない。経済産業省は2023年8月に企業買収における行動指針を策定していたが、これが拡張され、2026年5月にスタートアップ買収促進の指針がまとめられた。スタートアップの出口(イグジット)にはIPO(新規株式公開)だけでなく、M&Aも戦略としてあり得るとした。

 東証は2030年より、グロース市場で上場維持に必要な時価総額の基準を5年経過後から100億円以上に引き上げるとしており、小粒で上場できれば十分といった小さな目標は却下されることになる。そこまで成長できなければ、退出するしか選択肢がないということであり、企業サイドからの買収意欲に加えて、スタートアップにとっては“身売り”に見えなくはなかったM&Aによって生き延びる発想も出て来ることになる。よって経産省の新たな指針は、法律ではないにせよ、日本でスタートアップを支援する枠組みの一つとしては、十分考えられたもの、である。

 しかし、IPOが小粒、という問題以前に、日本からユニコーンが生まれてこないのは、もっと別に理由があるのではないか。三つの論点を指摘したい。

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