自民党裏金事件でも陣頭指揮を執っていた特捜エース
検察庁の公式サイトによれば、検察制度の起こりは13世紀のフランスにさかのぼる。当時の検察官は「国王の代官」と呼ばれていたが、フランス革命後は「人民の代官」となり公訴を提起、裁判所が判決を下す。このシステムが、やがてドイツなど欧州各国に広まり近代日本に伝わった。
渦中の検察官が、自らの欲望のままに女性たちを弄んだとしたら、世が世なら“悪代官”の誹りは免れないだろう。
今月8日、毎日新聞が報じたことで一躍全国区の話題となったのが、東京地方検察庁特別捜査部に在籍していた男性検事の女性問題である。報道から一夜明けた9日、最高検察庁は件の検事が調査対象になっていることを認めるコメントを発表。同日の参議院法務委員会では、法務省が平口洋法相に「調査結果が出れば厳正に対処すると報告した」ことを明らかにしたのだった。
社会部デスクが解説する。
「昨年末まで東京地検特捜部に在籍していた男性検事が、2023年に取り調べを担当した捜査対象者の30代女性と密かにSNSで連絡を取り合い、捜査終了後に不適切な関係を持った疑いです」
ちなみに、この男性検事は既婚者だったという。
「2024年7月、この検事は別件の公選法違反事件で関係者を取り調べるため使った都内ホテルの一室に、当該女性を呼び寄せ宿泊しています。もちろん公費で用意した部屋ですから公私混同も甚だしい。法務・検察当局は厳しい懲戒処分を検討しています」(同)
処分発表前で大手メディアは軒並み伏せているが、渦中の検事の名前は西田将仁氏(48)である。全国に散らばる約2800人の検察官のうち、わずか数十人の精鋭が集まる東京地検特捜部に、彼は2021年4月から在籍していた。
先のデスクが続けて話す。
「政財界の汚職や脱税事件などを扱う特捜部は花形部署です。特に西田氏は、現場の検事をとりまとめる『キャップ』と呼ばれる主任検事を務めており、2023年12月に特捜部が強制捜査に着手した自民党裏金事件でも陣頭指揮を執っていた。まさにエースといっていい逸材のはずでした」
特捜検事に至るまでも順風満帆だったと振り返るのは、さる司法記者だ。
「奈良県の進学校として知られる中高一貫の西大和学園時代は、柔道部に属する文武両道の模範生だったそうです。東京大学法学部を卒業後は、司法試験の合格者のみが選抜される司法修習生となりますが、大半が弁護士となる中で、西田氏は裁判官と検察官どちらにも任官できるほど成績優秀だった。当時、司法研修所の教官だった畝本直美検事総長から、直々にスカウトされ検事になったという逸話の持ち主です」
2002年に東京地検の検事となったのを皮切りに、横浜、大阪、水戸、さいたまなど各地検を渡り歩き刑事事件の経験を積む。2014年には現場検事を指揮する三席検事として松山地検に赴任。2年後、東京地検に戻って、公正取引委員会に出向する機会も得ている。
「満を持して東京地検特捜部へ異動してきたわけですが、このまま順当にいけば、事件を起訴するか否かの決裁に関与する副部長へと昇進する可能性が高かった。さらに実績を上げれば、特捜部長や各地検トップである検事正、さらには天皇の認証官である高検検事長など、検察幹部への道が約束されていました」(同)
午前は女性弁護士の家族と過ごし、午後には妻子とショッピング
そんな特捜エースの西田氏に、不可解な人事が下ったのは昨年12月のことだった。突如として花形部署を外されて東京高検への異動が決まったのだ。
「検察の幹部人事は不定期ですが、現場で汗をかく検事の異動は年度初めの4月が慣例。特捜のエース検事とはいえ、あくまで西田氏は幹部ではない現場検事の一人なのでイレギュラーな異動です。しかも高検で幹部に昇格したわけでもないので、栄転とは言えません」(同)
実は昨年12月の時点で、法務省と東京地検は、西田氏がひた隠す“裏の顔”を『週刊新潮』の取材で突き付けられていた。