テクノロジー

介護需要急増時代を乗り切る「ケアテック」最前線

2022年1月29日


<span>介護需要急増時代を乗り切る「ケアテック」最前線</span>
高齢者の歩行動画をAIが分析、歩行状態や転倒リスクなどの身体機能を可視化して、各々に適した運動を提案するサービス。テクノロジーで介護の現場を支えている。(提供:株式会社エクサホームケア)

介護「担い手不足解消」の鍵を握るケアテック分野。まもなく訪れる超高齢化社会で、介護者の負担を減らし被介護者の尊厳を守るために、テクノロジーはどのような処方箋を準備できるか。

2040年には、今よりさらに69万人の介護職員が必要に

 2021年の日本の高齢者人口は3640万人。高齢者人口率は29.1%となった。日本の100歳以上の高齢者人口は8万6510人となり、2020年より6060人増加した。他方で、生産年齢人口比は59.4%で、1995年をピークとして年々減少の一途を辿っている。さらに日本の出生数は2016年以降、年3.5%の減少率で、2021年の出生数は約81万人。日本は少子高齢化、そして、日本人は長寿化している。

 高齢者が増え、長寿化が進めば、介護を必要とする人口も増えていく。生産年齢人口の減少とともに、介護の職につく人たちも自ずと減ってしまうだろう。厚生労働省の試算によると、介護需要の増加に伴い、2019年度と比較して2025年度には約32万人(5.3万人/年)、2040年度には約69万人(3.3万人/年)の介護職員が現状に加えて必要だ、という推計が出ている。

 人はいずれ老いる。他人からの介護を受けたくなくても、これだけ長寿化した社会においては、いつか自分や家族も介護されなければならない時期が来る。実際、脳卒中や認知症等をきっかけとして、80代前半の約3割、80代後半になると約5割、90代以上になると約7割の人が何らかの支援や介護を受けている。日本には幸い国民皆介護保険制度があり、介護が必要になれば、必要な支援や介護サービスを受けることができる。しかし、前述のように、介護保険を支える側の人たちは減っていき、介護の担い手の十分な確保も厳しい状況が続く。必要な時に十分な介護を受けられる環境を維持し、介護保険制度を持続可能なかたちで運用していきながら、コミュニティのなかでそれなりに幸せに生活できる社会を作っていくには、何が必要だろうか。

 その鍵を握るのが「ケアテック」である。「ケアテック」とは、「ケア(介護)」+「テクノロジー」の造語である。ケアテックが提供する機能は、介護者の目となって被介護者を見守り、耳となって記録し、右腕となって情報収集・分析して、予測し、提案してくれる。いまはまだ「介護」というと、人手不足と大量の煩雑な業務に追われる「3K労働」というイメージが先行してしまうが、ケアテックの導入によって業務が整理・効率化され、レファレンス機能が高まることにより、介護の仕事は人生最終章を支える専門職という社会的認知が醸成され、当事者の矜持も高まるだろう。高齢者本人は、残存機能(本人ができること)を活用しながら、できるだけ自分の力で最期まで自分らしい生活を送ることができるようになるだろう。介護する人も、介護される人も、介護を支える人も得をする世界をケアテックが担っている。……

おすすめの記事

すべて見る
戻るボタン 次へボタン

おすすめの動画

すべて見る
戻るボタン 次へボタン

ニュースレターを購読する

新潮QUEは、「問う力」を養っていくためのサブスクリプションサービスです。

無料登録する