医療・ウェルネス

「サル痘」と「バイオテロ対策」の見過ごしてはいけない深い関係

2022年8月4日

本来はアフリカの風土病だったサル痘への国際的対応が素早く進む一因には、天然痘ウイルスを使ったバイオテロへの備えが生きたという背景がある。天然痘ウイルスへのワクチンはサル痘にも有効だからだ。ただし、感染拡大はバイオテロの予防体制が脆弱であることも示している。

 サル痘が流行している。7月28日、世界保健機関(WHO)は、78カ国で合計1万8000人を超える感染者が確認されたと発表した。大半が欧州だが、我が国でも7月28日現在、2名の感染が確認されている。7月23日、WHOはサル痘の感染拡大を、最大警戒水準の緊急事態であるPublic Health Emergency of International Concern (PHEIC)に相当すると認定した。

順調に進む治療薬・ワクチンの手配

 サル痘の研究の進展は急速だ。7月21日、英国の研究者たちは、4月27日~6月24日までに16カ国43カ所で診断されたサル痘感染者528人の臨床経過をまとめた研究を米『ニューイングランド医学誌』オンライン版で発表した。

 この研究によれば、98%が同性愛か両性愛の男性で、75%は白人、41%がHIVに感染していた。感染者の年齢中央値は38歳で、ほとんどが性交渉で感染したと考えられた。

 臨床症状は、これまでに報告されていたものとは違っていた。従来、サル痘は感染後1~2週間の潜伏期を経て発熱・悪寒・リンパ節腫脹などで発症し、その後、水疱などの発疹が生じ、2~4週間で自然治癒した。ところが今回の流行では、発熱は顕著でなく、95%の感染者は発疹で医療機関を受診し、73%は肛門や性器に病変を認めた。リンパ節腫脹が確認されたのは56%だった。87%の感染者が入院したが、全例が回復した。32人中29人で、精液からサル痘ウイルスが確認されており、性交渉による感染の可能性を支持した。なぜ、 従来と今回の流行の臨床像が異なるか、その理由はわかっていない。……

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