2022年9月8日、イギリスのエリザベス2世女王が崩御した。その治世は70年と214日に及び、イギリス史上最長のものとなった。19日におこなわれた葬儀には、アメリカのジョー・バイデン大統領や日本の天皇皇后両陛下、そしてヨーロッパのすべての王侯など、世界の約200の国と地域から弔問客が駆けつけてきた。荘厳にして華麗なる儀式ののちにウィンザーに葬られた女王は、いずれ「エリザベス大王(Elizabeth the Great)」と呼ばれるだろう。しかし問題は、この偉大なる君主を失った後のイギリス王室である。
「エリザベス大王」の衣鉢
エリザベス2世自身は、スキャンダルに巻き込まれることもなく、70年にわたりつねに国民の模範となる人物であった。ところが、若くして女王に即位したこととも関係し、子育てはあまりうまくいかずに、4人の子供のうち3人までが離婚に至っている。特に後継の君主となったチャールズ3世が、ダイアナ妃との電撃的な結婚ののち、現在のカミラ妃と不倫関係に陥り、ダイアナによるメディアへの暴露や彼女自身の不倫などで、「泥沼」を経験して離婚に踏み切ったことは、読者もご記憶されていることであろう。
さらに離婚の翌年の1997年夏にダイアナがパリで事故死し、国民からの王室に対する風当たりはきわめて強いものとなった。その後、王室の活動や王族たちの真の姿をホームページやSNSなどを通じて広報することで、2012年の女王のダイヤモンド・ジュビリー(即位60周年記念式典)までには何とか国民からの支持を取り戻すことにも成功した。しかしそれは、もともと国民からの支持が篤いエリザベス女王ならではの現象であり、2005年にカミラ妃との再婚を果たしたチャールズ皇太子(当時)には、どうしても「ダイアナの影」がつきまとってしまう。……