アフリカ連合開発庁への提言
前回の記事でも紹介した通り、スタートアップ制度がアフリカで徐々に広がっている。筆者は、今後は個別国のみで適用される認定ではなく、A国で認定されたスタートアップがB国に進出した際に、B国の優遇制度を必ず受けられる等、優遇措置の相互運用をするスタートアップ法制度をつくっていく必要があると考えている。アフリカスタートアップは、各国の市場規模がそれほど大きくないため、他国展開をしていくことが多いからだ。
ただ、言語、文化、歴史的背景の違い等があるアフリカ全体を牽引していくような中心的な国家がないこともあり、一国が他の国々を取り纏めて共通の法制度を構築していくことは難しい面が多い。そのため筆者は2023年3月、アフリカ全域を管轄するアフリカ連合(African Union)の傘下にあるアフリカ連合開発庁(AUDA-NEPAD)を訪問し、スタートアップ法制度に関するアフリカ各国間のネットワーク強化や知見共有・情報交換について提言を行った。
現状、スタートアップ法制度に関心を有する国は多いものの、実際に法制度化し、運用まで実施している国はチュニジアとアルジェリアのみだ。ナイジェリア、コンゴ民主共和国やトーゴ等は制度化したばかりで、未だ実際の運用にまで至っていない。エチオピア等の国々は法制度のドラフト段階または検討段階にある。国によって運用方法が異なることは当然だが、既に制度化・運用している国が経験した制度化までの過程、実際の運用方法や教訓、法制度のスタートアップエコシステムへの影響について知見を共有していくことは、法制度を検討している国にも役に立つだろう。そのため、大臣や各機関の代表等の意思決定者が集まるハイレベル会合と事務レベルの会合の2つ程度のグループを構築し、知見の共有を実施するよう提言を行った。……