[ワシントン発/ロイター]科学者たちは、男性に存在する謎めいたY染色体を完全に解読することによって、ヒトゲノム(遺伝子の設計図)の理解に重要な一歩を踏み出した。
人は各細胞に1対の性染色体を持っている。男性はY染色体とX染色体をそれぞれ1本ずつ持ち、女性は例外を除いて2本のX染色体を持つ。Y染色体の遺伝子は、精子の生成を含む重要な生殖機能を司り、癌のリスクやその重症度にも関与している。しかし、この染色体は非常に複雑な構造をしているため、解読が難しいとされていた。
米国国立ヒトゲノム研究所研究員で、『Nature』誌に掲載された研究論文の筆頭著者であるアラン・リー氏は「新しいシークエンシング技術と計算方法を評価したい」と語った。カリフォルニア大学サンタクルーズ校(UCSC)の生体分子工学教授で、この研究論文の共著者であるカレン・ミーガ氏も、「この研究によって、Y染色体のコードが初めて完全に明らかになった、これまでY染色体の50%以上の部分がゲノム地図には欠けていたが、これが明らかになった」と説明する。同氏はこの研究を支援するテロメア・ツー・テロメア・コンソーシアムの共同リーダーでもある。なおX染色体については、完全な塩基配列は2020年に発表されている。
UCSCのゲノム学者で、やはりこの研究の共同著者であるモニカ・チェコワ氏は、「Y染色体は従来、ヒトの病気に関する多くの研究から除外されてきたため、これは特に重要なことだ」という。また、「Y染色体はヒトゲノムの中で最も小さく、最も進化が早く、最も重複配列の多い染色体だ」と指摘する。この領域には、精子の生成に関与するいくつかの遺伝子を含むDNA(生物の発生と機能に関する遺伝情報を伝える分子)のストレッチがあることが明らかになった。……