トランプ政権の「相互関税」を中国はどう見ているのだろうか?
中国商務部は「中国は断固反対し、報復措置によって中国の権益を擁護する」との声明を発表した。中国外交部の郭嘉昆報道官は「WTO(世界貿易機関)ルールの重大な違反であり、ルールベースの多国間貿易体制を毀損するもの。必要な対応策を採り、正当な利益を確保する」とコメントしている。
この言葉通り、中国はなんらかの報復関税をかけるであろうし、あるいは今年2月に発表したグーグルに対する独禁法違反の調査のような形での対抗策を採ることも考えられる。だが、それは報復措置によって米国の関税引き上げを抑止するというよりも、殴られっぱなしで反撃しないのはメンツに関わるといった体面の問題に過ぎない。第一次トランプ政権では2018年から2019年にかけて、米中が互いに関税引き上げを繰り返す貿易戦争が繰り広げられたが、最終的には中国側が譲歩する形で決着した。中国政府はこの轍は踏まないだろう。
報復関税はメンツのためのポーズであるとするならば、相互関税のダメージはどのように緩和するべきか。拙稿〈第二次トランプ政権でも止まらない? 中国製造業「ASEANシフト」のかつてない急増〉で指摘したとおり、中国企業は東南アジアやメキシコを拠点とする「中国企業によるチャイナ・プラスワン」体制を構築し、米国による対中国関税引き上げに備えていたが、相互関税は第三国経由での対米輸出という道をふさいでしまった。カンボジアに49%、ベトナムに46%、タイに36%、マレーシアに24%と、ASEAN(東南アジア諸国連合)の製造拠点に一気に高関税が課されている。……