第二次トランプ政権の下での初めての米中首脳会談は、10月末に釜山で開催され、貿易紛争をめぐり揺れ動いた関係を鎮静化する上で一定の成果をあげた。しかし、対中強硬措置は、不公正貿易慣行などの懸案について中国側の譲歩を引き出すための手段であったはずであるが、釜山での合意は本来の政策目的実現に向けた努力としては成果に乏しいものであった。そうした意味で、これまでの米中間の折衝は一周回って元に戻った印象を禁じ得ない。
また、今回の交渉を巡る力学を見ると、第一次トランプ政権当時に比べ、中国側の攻撃的な姿勢が目立った。第一次政権においては、中国側は、米側の強硬姿勢に対して一定の輸入拡大策をとることで事態の収拾を図る受け身の姿勢をとっていたが、今回は米側の措置に対して徹底抗戦を試みたばかりでなく、レアアースに関する輸出規制を通じて米側の脆弱性を印象付けることに成功した。
とは言え、今回の交渉は、トランプ政権が公約実現を急ぐ中で行われたもので、政権の対中政策の方向性についてあまりにも多くを読み取ろうとするのは適当ではあるまい。今後トランプ政権が来年春に予定される大統領の中国訪問に向け対中戦略をどう練り上げていくか引き続き注目を要する。また、より大きな視点から見ると、今回の交渉は、米中双方が相互依存関係を「武器化」した点を特徴としているが、こうした動きが中長期的に米中関係に与える影響についても注視していかねばならい。
本稿では、このような視点を踏まえながら、第二次トランプ政権下での米中関係の動向を評価するとともに、今後の方向性を占うこととしたい。……