7月13日から16日に行われたジョー・バイデン米大統領による中東諸国への訪問は、米国メディアからの格好の批判の的となった。バイデンはカショギ氏殺害事件を巡る問題を巡り対話を拒否していたサウジアラビアのムハンマド(MbS)皇太子との会談に踏み切ったにもかかわらず、原油増産の確約やサウジアラビアとイスラエルの関係正常化、果てはイランに対する中東防空同盟の構築等、事前に期待されていた成果を明確なかたちで挙げることができなかった。
しかし、スピード感のある変化ではないにせよ、バイデンの中東訪問は米国にとって望ましい地域秩序をもたらすために必要な実務的な協力の環境を整えたという点で、期待以上とは言えないまでも、現実的に達成可能な目的を果たしているように思われる。
主眼はパートナー国の防衛能力構築支援
サウジアラビアのジッダで開かれたGCC(湾岸協力理事会:サウジアラビア、UAE、カタール、クウェート、バーレーン、オマーン)とエジプト、イラク、ヨルダンの3カ国による「GCCプラス3」首脳会合の場においてバイデン大統領は、「我々は中国、ロシア、イランによって埋められるような(力の)真空を残して(中東から)立ち去ることはない」と述べ、米国は中東に積極的に関与するパートナーであり続けると明言した。
米国の中東政策は、オバマ政権以降、中東への軍事的な関与を徐々に低下させていくことが基本方針となっている。イラク・アフガニスタンからの撤兵により中東地域に駐留する米軍の規模は縮小しており、中東の紛争に米国が新たに軍事介入することはできる限り回避することが模索されるようになった。……