「日銀の金融政策」があらゆる方面から注目される理由
なぜ日本銀行の金融政策運営は注目されるのだろうか。金融機関や投資ファンドなどで円金利関連の有価証券運用に携わっている人や、企業で財務を担当している人にとっては、将来の金利をうまく予想できるか否かが自社収益(→自分自身のボーナス)に直結するため、日銀動向に注目するのは当然である。あるいは、これから住宅を購入して住宅ローンを組もうとしている人は、固定金利にするか変動金利にするかを考えるために、日銀の金融政策動向に関心を持つこともあるだろう。
ただ、実際には、金利の上下によって直接的に影響を受けない人も日銀の金融政策に注目していることが少なくない。理由は色々あり得る。1つには、金融政策は短期金利を起点に様々な経路を通じて幅広い企業の業績に影響を与えることが挙げられる(日本のビジネスパーソンにとって最もわかりやすい経路は、為替レートを通じた影響かと思う)。会社員にとって自社の業績は自分自身のボーナスに大きく影響するので、そうした観点で金融政策に注目している人も一定数は存在するものと思われる。
また、新NISAの効果もあって株式あるいは株式投信の保有が広がっているため、将来の株価を占う上での材料として金融政策に注目している人も増えているだろう。株式投資と比べれば人数は少ないだろうが、債券投資や不動産投資をしている人にとっても、日銀金融政策は重要なポイントである。
そのため、経済専門メディアはもちろん、より広いテーマを扱う新聞・雑誌・テレビ番組やwebメディアなどでも「日銀の金融政策」は定番の話題となっているし、筆者のようなエコノミストの見方や分析が求められる機会もそれなりに存在しているわけである。
なぜ中央銀行の多くが「消費者物価上昇率」の目標を2%とするのか
金融政策とは、大まかに言えば「景気や物価を安定させる(≒振れ幅を小さくする)ための金利の上げ下げ」である。日本においては、「日本銀行法」という法律で「日銀は『物価の安定』を実現するために金融政策を運営する」ということが規定されている。
このように法で規定される「物価の安定」という目標は抽象的過ぎるので、より具体的な政策目標として、主要国・地域の中央銀行の多くは「インフレ目標」を掲げている。日銀も含めて先進国の中央銀行は「消費者物価上昇率が2%」という目標を設定していることが多い。
なぜ「2%」が目標とされているのだろうか。「安定」=「動かないこと」だとすれば、「0%」が最も安定した状態のはずであり、目標は2%ではなく0%であるべきではないかと疑問に思う人も多いだろう。