連載 > Foresight

「習近平訪朝」で金正恩に笑みが絶えない「中露バランス外交」の実現(2026年6月7日~6月13日)

2026年6月15日


<span>「習近平訪朝」で金正恩に笑みが絶えない「中露バランス外交」の実現(2026年6月7日~6月13日)</span>
金正恩が習近平を初めて党中央幹部学校に案内したことは、露朝関係とは異なった意味での重要性を示したものと見られる(朝鮮中央通信HPより)

北朝鮮とロシアの蜜月は、中国に対北朝鮮関係の再構築を迫っている。中朝首脳会談を受けた中国側の報道が「非核化」に触れないことは北朝鮮の主張が通ったことを意味しており、かたや北朝鮮メディアは、習近平が述べたはずの「軍間交流」「人類運命共同体理念」「4大グローバルイニシアチブ」などを報じていない。【『労働新聞』注目記事を毎週解説】

画像

 6月8日、9日の両日、中国の習近平国家主席が7年ぶりに北朝鮮を訪問した。8日付第1面の上段には習近平訪朝を歓迎して中朝親善を謳う社説が、下段には習近平による寄稿文「過去を継承して未来を開拓し試練の中で共に前進して伝統的な中朝親善の新たな章を引き続き刻んでいこう」が掲載された。これらは、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が訪朝した2024年6月18日の紙面構成と対を成している。

 今回の社説は、社会主義国間の友好の重要性を強調する内容であった。党と党、国家と国家、人民と人民の関係を、抗日、朝鮮戦争、社会主義建設、友好条約、5カ年計画などに触れながら評価したものである。2年前のプーチン訪朝歓迎社説は、露朝の軍事的連帯を誇示した文章になっており、米国と西側諸国を敵対勢力として描いていたのに比べて、今回は儀礼的なものに留まったと言える。

 習近平については「尊敬する習近平同志」「最大の国賓」と表現された一方、当時プーチンは「尊敬するプーチン大統領同志」「親しい隣邦の最も貴重な友人」とされていた。実態はともあれ、表面的には中露いずれもが「最も」重要なパートナーであることを示すことで、バランス外交への転換が図られたと言える。

 習近平の寄稿文には「軍国主義」批判も含まれた。当然に日本を意識したものと言える。

党中央学校の参観で示した「社会主義国としての連帯」

 8日、金正恩は李雪主(リ・ソルジュ)夫人とともに平壌(ピョンヤン)国際空港で習近平夫妻を出迎え、金日成(キム・イルソン)広場での盛大な歓迎儀式を経て、改修された錦繍山(クムスサン)迎賓館での首脳会談に臨んだ。木蘭(モンナン)館での晩餐会後は、平壌体育館の歓迎公演を共に観覧した。その歓迎ぶりは、概ね2年前のプーチン訪朝時と同様であった。

 首脳会談では、金才龍(キム・ジェリョン)党書記、李日煥(リ・イルファン)党書記、金成男(キム・ソンナム)党国際部長、崔善姫(チェ・ソニ)外相、努光鉄(ノ・グヮンチョル)国防相、金徳訓(キム・ドックン)内閣第1副総理が同席しており、2018年から19年にかけて開催された習近平との一連の首脳会談とは異なり、テタテの会談は持たれなかった。そのことから今回は、対米関係で踏み込んだ議論があったというよりも、両国関係の全面的修復に第一義が置かれたと考えられる。

 金正恩は、習近平に対して「朝中親善を最も重要な第1の戦略的事業として堅持」すると述べた。両者は、両党、両国間のハイレベル往来を通じた戦略的意思疎通の緊密化で合意し、国際及び地域の問題についての意見交換では、「満足すべき見解の一致」が見られたという。

 二日目となる9日、習近平は、中国人民志願軍の朝鮮戦争参戦を記念した友誼塔を金正恩と訪問した後、党中央幹部学校を参観し、錦繡山迎賓館での午餐に参加して訪朝日程を終えた。金正恩夫妻が空港で直接見送った。

おすすめの記事

すべて見る
戻るボタン 次へボタン

おすすめの動画

すべて見る
戻るボタン 次へボタン

ニュースレターを購読する

新潮QUEは、「問う力」を養っていくためのサブスクリプションサービスです。

無料登録する