石炭部門の「世紀的な立ち遅れ」払拭を指示
6月20日から22日にかけて、朝鮮労働党中央委員会第9期第2回全員会議(総会)が開催された。上半期を総括し、下半期の活動を画定するための定例開催であり、5月24日付の政治局決定書が「6月下旬」の招集を予告していた。6月23日付は4ページにわたって会議の概要を報じたが、3日分にしては非常に簡素な報道ぶりである。
議題は、①2026年度の主要な党及び国家の政策実行状況の中間総括について、②石炭工業を盛り立てて全国の炭鉱村を改変させることについて、③市・郡人民委員会の役割を強めるための一連の措置について、④組織問題(人事)であった。
議題名で目立つのは第2議題である。金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は、最高人民会議代議員選挙に投票するため、3月15日に平安(ピョンアン)南道・順川(スンチョン)地区青年炭鉱連合企業所の天聖(チョンソン)青年炭鉱に出向いた際、石炭工業の重要性を訴えるとともに、立ち遅れた炭鉱村の様子を憂いていた。
今回の会議で司会を担った金正恩は、石炭工業部門の「世紀的な立ち遅れ」を払拭し、炭鉱労働者の住宅問題を決定的に解決すること、すなわち全国の炭鉱村を農村住宅と同様に改変させる方針を示し、「炭鉱地区建設指揮部」を設置して準備を進め、「来年から本格的な工事に着手すべき」だと述べた。今すぐに解決すべきとしないところは現実的な判断だと言える。
最高人民会議常任委員長は後日選出
人事面ではサプライズがあった。2月に党政治局常務委員会入りしたばかりの金才龍(キム・ジェリョン)を「職務変動」のために解任し、党中央委員会書記、党組織指導部長のポストからも引き離す代わりに、趙甬元(チョ・ヨンウォン)最高人民会議常任委員長をその職から解き、党書記、党組織指導部長に戻したのである。趙甬元は3月に最高人民会議常任委員長に就任し、6月11日の常任委員会第15期第1回全員会議で初めて委員長として司会を担ったばかりであった。新しい最高人民会議常任委員長は後に招集される会議で選出されるという。
今回の人事は「憲法第6章第90条」に基づく国務委員長の権限行使によるものと報じられたことから、5月に韓国政府が発表し、後に北朝鮮サイドのSNSが報じた新憲法が本物であることを示すものともなった。
一連の人事は、同時に発表された朝鮮人民軍の幹部による「不正腐敗嫌疑」が背景にあるものと考えられる。この記事では、朴喜哲(パク・ヒチョル)朝鮮人民軍総政治局組織副局長(少将)を法機関に引き渡すことが党中央軍事員会で決定されたと報じられた。軍総政治局の組織担当幹部が不正していたとすれば、それを指導する党組織指導部長の責任も免れず、引き締めのためには信頼の厚い趙甬元を戻すしかなかったということなのだろう。
日本の「軍国主義」に言及したことの含意
もう一つの注目点は、金正恩の結語において日本への直接的言及があったことである。金正恩は、米韓の兵力増強が露骨になっているとして、核協議グループ(NCG)のほか韓国の原子力潜水艦保有についても触れ、韓国との国境を「要塞化」する工事の完結や、海軍艦隊に新たな基地を建設することを指示した。そのうえで、「アジアの敗戦国である日本が現在の混乱した局面を軍事大国化を制限するあらゆる足枷を解く絶好のチャンスとみなして公然と戦争国家へと変身している」との批判を展開したのである。「アメリカ・ファーストとシオニズム、ウクライナのネオナチズムと日本軍国主義のような現代版国粋主義」といった表現も見られた。