連載|Foresight

Vol. 187

金日成総合大学の創立80周年シンポジウムに中ロの大学と朝鮮大学校が参加(2026年9月27日~10月3日)

2026年10月5日


<span>金日成総合大学の創立80周年シンポジウムに中ロの大学と朝鮮大学校が参加(2026年9月27日~10月3日)</span>
9月30日に金日成総合大学を訪れ演説する金正恩国務委員長(朝鮮中央通信HPより)

創立80周年を迎えた金日成総合大学は、中ロに加えてベラルーシの大学とも学術交流のための基本合意書を締結した。金与正談話では、9月21日に非武装地帯で起きた地雷爆発事件を韓国の自作自演だと主張し、10月3日に発射した弾道ミサイルについては日韓が推定した射程を否定した。ただし、これらの談話は『労働新聞』には掲載されていない。【『労働新聞』注目記事を毎週解読】

金日成総合大学を「3大必須要求」の牽引役に名指す

 9月30日、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は、10月1日に創立80周年を迎える金日成(キム・イルソン)総合大学(金承燦[キム・スンチャン]総長)を訪問して、「金日成総合大学の栄光に満ちた80年の歴史に敬意を表する」と題する演説を行った。同大学を「わが国家第一の人材育成拠点であり科学教育の最高殿堂」「わが国家を象徴し、その富強発展を力強く促してきた権威ある最高の教育機関」として、数千人の教育者と1万人あまりの学生、さらには「朝鮮の学生とともに豊かな知識と友好の情を深めている各国の留学生」と、臨席した「海外同胞教育活動家や外国の友人」に挨拶を送ったのである。

 金正恩による教育重視、科学技術重視の姿勢は一貫している。演説では、「教育強国、科学技術強国、人材強国」の建設が朝鮮労働党の主張する「3大必須要求」であり、金日成総合大学がその牽引役になるべきだとされた。

「世界一流の大学を建設しようというのも、大学の威信を高めたり、他国の方式を模倣するためではなく、われわれの革命偉業の遂行に真に貢献し、強大な国力と人民の幸せな生活を築く上で強固な礎となる人材をいっそう立派に育てるため」だと主張された。党の意図に忠実で、「祖国と人民に認められる」ことが何よりも重要だということである。

 また、金正恩は、「学歴を持って出世の足場をつくる貴公子や功名主義者ではなく、祖国と人民のために奮闘する真の愛国者、国を支える真の奉仕者を育成」することを訴えた。金日成総合大学のエリート意識の強さを反映したものだと言える。「人民が嫉視し納得しない不公正かつ不透明なこと」や「怠惰で不健全な風潮」も強く戒めた。

 教育の質的発展についても唱えられ、「世界の教育発展趨勢とわが国の教育の実態を比べて新たな高い段階に引き上げる早道」を見つけ出すことが求められた。「世界の趨勢」を意識することは、金正恩が政権初期から各分野で訴えてきたものである。

 また、金日成総合大学は「教育と科学という二つの柱をもって国家の尊厳と繁栄を支える最高学園」と述べられた。学術研究機関としての役割を果たすことも重要だとするものである。

 金日成総合大学のホームページ(https://www.ryongnamsan.edu.kp/)によると、金日成は107回、金正日(キム・ジョンイル)は33回、金正恩は5回、同大学を現地指導している。歴代の総長を顔写真入りで紹介したコーナーもあるが、当然のことながら、1997年に韓国に亡命した黄長燁(ファン・ジャンヨプ)氏らについては触れていない。留学生については、1955年以降、中国、ロシアのほか、シリア、イラン、ベトナム、英国、フランス、ドイツ、スウェーデンなど三十数か国から計5000名あまりを受け入れてきたことが紹介されている。

 9月29日から30日にかけては創立80周年記念国際学術シンポジウム(原文は「討論会」)が開催され、ロシア科学・高等教育省次官、ノボシビルスク国立大学学長、北京大学副学長のほか、東京から朝鮮大学校代表団も参加した。期間中に中ロのほかベラルーシの大学が金日成総合大学とのMOU(基本合意書)を締結したことが報じられた。前述の金正恩演説では、金日成総合大学が「世界的な大学、国の最高レベルの大学に相応しく、外国の名門大学、科学研究機関との交流と協力も活発に展開」することを求めたため、外国の教育・研究機関との交流活発化が見込まれる。

アジア大会で日本に敗れた女子サッカーの報道は3行

 10月3日付第4面では、2日に行われた第20回アジア競技大会の女子サッカー決勝戦で北朝鮮が日本に敗れ、銀メダルとなったことをわずか3行で報じた。写真も掲載されなかった。

 一方、決勝進出を決めたことを伝える9月30日付の記事は写真も添えられ、詳しい内容であった。今回のアジア大会で北朝鮮はウエイトリフティングにおいてのみ7個の金メダルを獲得し、『労働新聞』はそのことについて連日詳報した。自国選手の活躍ぶりにだけ焦点を合わせた報道ぶりは、スポーツが国威発揚の手段と位置付けられていることを意味している。

米国には冷静な、韓国には感情的な表現を操る「金与正談話」

 金与正(キム・ヨジョン)党中央委員会総務部長による談話が連続して出された。9月29日付の金与正談話「挑発の張本人は自作茶番劇の代償を覚悟すべきであろう」は、21日に非武装地帯(DMZ)の韓国側で地雷が爆発し、韓国軍兵士3人が重軽傷を負ったことに対して、韓国軍が北朝鮮軍によって最近埋設した地雷によるものだと断定し、国連軍司令部が休戦協定違反であると指摘したことへの反発である。北朝鮮は軍事境界線を要塞化する「南部国境永久化工事」を進めている。

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