政治

自衛隊最高幹部が語るウクライナ戦争(第4部)――“戦後”の日米同盟と国際社会

2022年6月11日


<span>自衛隊最高幹部が語るウクライナ戦争(第4部)――“戦後”の日米同盟と国際社会</span>

国連安保理の常任理事国が隣国の主権を犯して戦争を始めた。戦後の国際秩序が根底から揺るがされる中、国連を中心とした“国際協調”と日米同盟を両輪としてきた日本外交は、これからどこへ向かうのか――。(こちらの第3部から続きます)

自衛隊の装備をすべてNATO標準に

岩田清文(元陸上幕僚長):最後の第4部では、今後の日米同盟と多国間協力のあり方を検討したいと思います。まず兼原さんから、日米同盟強化の重要性とそこにまつわる課題について、ご意見をお願いします。

兼原信克(元国家安全保障局次長):はい。実はアメリカも冷戦が終わってから、実際に核兵器を含めた大規模な戦争をやるということはあまり考えてきていない。ソ連がいなくなって、中東で対テロ戦争ばかりやってきた。台湾をめぐって中国と本当に戦争するとどうなるかということは、まだ考え抜いていないと思います。特に、強大化する中国の通常兵力を前に、核を使って中国を抑止するなんて全く考えていない。日本はアメリカにとって太平洋で最大の“出城”です。仮に台湾をめぐって米中戦争になるとしたら、初めて日米の同盟調整メカニズムをフルに使う戦争をしなくちゃいけない。

 相方のアメリカは一言で言うと、デカくて頼りになるのですが、いかんせん非常に遠くにある。太平洋の彼方です。また、日本周辺と中東とヨーロッパを常に同時に見ている。台湾有事になったら、北東アジアにあるアメリカの“出城”は日本だけです。韓国人は台湾のことなんて全く考えていませんからね。150%、北朝鮮しか見ていない。オーストラリアは頼みの綱ですが、これも南半球で遠いし、他のASEAN(東南アジア諸国連合)諸国はまだまだいまいち頼りにならないし。そうすると結局日本しかない。台湾有事になると、出城が最初に燃え落ちるわけです。ですから、絶対に台湾で戦争させないようにしないといけない。気がついたら戦争が始まって、最後にアメリカが勝ったけど、そのとき東京は残っていなかったということは許されないのです。

 それを防ぐためには、徹底的に抑止力を上げる必要があります。防衛予算をGNP比2%まで増やすのはもちろん、アメリカの核も日本に持ってきてもらいたい。日本がアメリカを引っ張る形で、中国を抑止できるよう、アジア正面の軍備増強を確固たるものにする。「万が一戦争を始めたら、中国はすぐに負けますよ」というぐらいのところまで持っていかないと、今の中国は抑止できないと思います。……

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