2022年2月24日のロシアによるウクライナ侵攻から一年が過ぎた。新著『欧州戦争としてのウクライナ侵攻』(新潮選書)で、ヨーロッパ秩序の視点から戦争を分析した鶴岡路人氏が、著書で「論じ切れなかった」という「ロシア問題」とは何か。英国の外交史と国際政治が専門の細谷雄一氏と、過去100年のヨーロッパ政治史をふまえて解を探る。
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NATO拡大ばかりを責めていいのか
細谷雄一 ロシアによるウクライナ侵攻から一年を迎えるタイミングで『欧州戦争としてのウクライナ侵攻』を刊行されましたが、その本に書かれていないというか、問題提起があるけれども充分に論じられていない、しかし今回の戦争を考えるうえで大変重要な点についてお伺いしたいと思います。それは「ロシア問題」ということなんですが、これはどういうものでしょうか。
鶴岡路人 たしかにうまく論じ切れなかったところです。私は「ロシア問題」と呼んでいるのですけれど、ヨーロッパ秩序の中で、ロシアをどのように位置づけるのか。これは結局、冷戦終結の時に答えが出なかったんですね。……