アジア開発銀行(ADB)の報告書『Powering a Learning Society During an Age of Disruption1』は、第4次産業革命やパンデミック、気候変動といった破壊的変化に直面する現代を、学びを通じて乗り越えるべき時代と位置づけている。同報告書が強く求めているのは、社会全体を学習の場と捉える学習社会(learning society)への転換だ。そこでは、学びは特定の年代に限定されるものではなく、生涯を通じ、学校・職場・家庭・地域といった多様な場面で複合的かつ連続的に起こる営みとして再定義される。
したがって、社会人、シニア、そして企業や組織そのものも「学び続ける主体」として捉えられている。これからの学校教育を考えるための要諦は、「education(教育)」よりも広い概念としての「learning(学び)」へのパラダイムシフトにあると言えよう。
こうした社会の変容を踏まえ、これからの学校教育や学びの姿を理解するために適した書籍を3冊紹介したい。
まず、学校教育の全体像を簡潔につかむための入門書として、手前味噌で恐縮だが拙著『教育ビジネス 子育て世代から専門家まで楽しめる教育の教養』(クロスメディア・パブリッシング、2025年)を挙げさせていただきたい。教育には、時代や制度が変化しても揺らぐことのない「不易の原理」が存在する。それは、自己実現への貢献とより良い社会の創造だ。一方、これまでは与えられた価値観のもとに行動する人を育てる「教育」で問題なかったが、高度情報社会では、自ら様々な価値観や目標を打ち立てて行動できるよう、より広い概念としての「学び」が一層大事になってくる。拙著では、教育という営みの不易の原理と、今日起こっている変容の全体像を様々な観点からできるだけ体系的に、簡潔に記述したつもりだ。……