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第6回

「遅筆は悪いことではない」菅原文太氏らが語る、井上ひさし「筆」の秘密

2026年5月1日


<span>「遅筆は悪いことではない」菅原文太氏らが語る、井上ひさし「筆」の秘密</span>
自宅の書斎にて(1999年)

 文学や演劇、平和運動など幅広い分野で活躍した井上ひさし氏が肺がんの闘病中、75歳で亡くなったのは2010年4月9日のことだった。NHK人形劇「ひょっこりひょうたん島」や小説『吉里吉里人』など数多くの名文、名作ともに、「遅筆」の伝説を遺した井上氏。当時の「週刊新潮」の追悼特集で語られた、生前を知る関係者たちの言葉を元にその伝説を振り返る――。

※本稿は「週刊新潮」2010年4月22日号に掲載された特集を元に再構成したものです。また、年齢や肩書は当時のものです。

本の帯の原稿のためだけに3日間

 筆の遅い作家は珍しくないが、編集者から恐れられもし、尊敬されもした作家の井上ひさし氏。「遅筆堂」というペンネームを持つだけあって、原稿が締め切りに間に合わないことがしばしばあった。

 井上氏の担当だった岩波書店元社長の大塚信一氏はこう語る。

「先生の住まいが(千葉県)市川市にあった時代は、1階の応接室に常時2、3人の編集者が詰めていました。ご存知のとおり、先生は遅筆でね。早くても、締め切りから3日、遅いときでは1週間も遅れることがあったと記憶しています」……

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