政治

アフガニスタン「敗戦」の検証(1)アメリカの「良いタリバン」仮説は歴史に耐えるか

2021年8月25日

新タリバン政権は「アル・カイダ」や「イスラム国」の台頭を防ぐ――。アメリカは駐留継続に伴うリスクとタリバン政権穏健化の可能性を比較し、後者に賭けたのだと言える。ただし、新政権のキーパーソンであるバラダルと米国との深い関係を示唆する出来事を考えれば、この「賭け」が孕む危うさは無視できない。

 アフガニスタンにおけるアメリカ及びその同盟諸国の「敗北」は、今後の国際社会の動向に大きな影響を与える大事件である。その「敗北」の要因も、今後長く検証され続けるだろう。

「アメリカが無知だった」「アメリカが傲慢だった」といった総括の仕方は、必ずしも間違いではないのかもしれないが、単純化しすぎだ。それでは何も言っていないに等しい。少なくとも「それではどうすればよかったのか」という点を考察するのでなければ、検証していることにならない。

「敗北」を受け止めるとは、その原因を真摯に検証することだ。もし「無知で傲慢ではダメだ」といった教訓しか得ようとしないのであれば、今後も「敗北」が繰り返されていくことは不可避だ。

 私自身、当初から、特にボン合意のプロセスが完了した後の2006年以降、アフガニスタンの将来については非常に悲観的な論評書き続けている。だがアメリカ人が無知で傲慢だったからアメリカだけが失敗する、と書いたことは一度もない。アメリカを含めて自由主義諸国の全てが、軍事的、財政的、そして知的な資源のありったけを、20年にわたってアフガニスタンに注いだ。そしてなお、「敗北」を喫したのである。その認識をふまえたうえで、「敗北」の検証をすることが必要だと思う。まずは軍事介入と完全撤退の是非そのものについて考えてみたい。……

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