政治

【特別対談】篠田英朗×千々和泰明ロシア・ウクライナ戦争「終結のシナリオ」と新しい「安全保障体制」構築の道筋(上)

2022年7月23日

停戦あるいは終戦は、当事者にそれへの意志が生まれることで実現に向かう。だが、そもそも当事者とは誰なのか。「主権国家対主権国家の戦争」として始まったように見えたこの戦争は、2014年のロシアによるクリミア併合との連続性を次第に強め、いまや「内戦の性格も持った国際紛争」として捉えることが必要だ。両氏はこの戦争の複雑な構図にアプローチを試みる。(こちらの後編へ続きます)

篠田英朗:千々和先生はご著書『戦争はいかに終結したか』(中公新書)で、戦争の終わり方について「紛争原因の根本的解決」と「妥協的和平」という二つのパターンを提示されています。この本で示された枠組みと照らし合わせた場合、現下のウクライナ戦争の特徴や特異性をどう特徴づけられますか。

「非ナチ化」という言葉が示す強烈な意図

千々和泰明:この戦争が始まったときの演説で、プーチン大統領は「非ナチ化」という言葉を使いました。その「ナチ」はまさに、第2次世界大戦でソ連が連合国の一員としてナチス・ドイツを打倒したことにつながります。

 当時ソ連は米英とともに、“ナチスとは絶対に妥協しない、危険なこの体制を叩き潰してしまわなければいけない”と、いわゆる「紛争原因の根本的解決」を目指したわけです。プーチンがゼレンスキー政権を「ナチ」と位置付けたのは、ウクライナを「妥協できない相手」「共存できない敵」だと決めつけたという意味で、非常に衝撃的でした。

 ロシアが目標にしているゼレンスキー政権の打倒と傀儡政権の樹立、そしてウクライナという主権国家の中立化・非武装化というのは、つまりウクライナを完全に属国化すると言っているのに等しいことになります。……

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