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創業数年の「Luup」が規制まみれの交通インフラに食い込めた理由

2026年5月23日


<span>創業数年の「Luup」が規制まみれの交通インフラに食い込めた理由</span>
Luupの岡井大輝CEO(右)と経済アナリストの森永康平氏(左)

 街中を颯爽と走る白と緑の電動モビリティ「LUUP」。2018年の創業以来、わずか数年でその台数は約5万台に達している。急拡大の一方で、話題に上るのはユーザーによる危険運転だ。飲酒運転や道路の逆走などが後を絶たない。安全性と利便性のバランスをどう考えるのか、創業者でもあるCEOに直撃した。

※本稿は、「週刊新潮」2026年4月23日号の対談企画「経済アナリスト森永康平のビジネスリーダーにドロップキック!」の記事です。肩書等は全て掲載当時の情報です。

Luup起業前夜 

森永 都内を歩いていると、白と緑の「LUUP」の電動キックボードを本当によく見かけるようになりました。じわじわ増えたというより、ある時期から急にバンと増えた印象があります。

岡井 現在LUUPの車両は約5万台あるのですが、実はそのうち半分が電動アシスト自転車で、残り半分が電動キックボードなんです。

森永 てっきりキックボードが圧倒的に多いと思い込んでいました。

岡井 皆さん、そう驚かれます。自転車の後にキックボードを導入したのですが、直立で街中を移動している姿が目立つので。

森永 見た目のインパクトで一気に認知が広がったんですね。利用者の層はどうなんですか。若い人が移動の際に使っているイメージがありますが。

岡井 そこも世間の認知と異なりまして、実は約8割が通勤や買い物といった日常の移動なんです。平均的な利用者層も30~50代のビジネスパーソンが中心です。

森永 イメージと実態がかなりずれているんですね。ところで、Luupは大学時代の仲間と創業したスタートアップと聞きました。

岡井 2018年に大学のサークルの同期5人で創業しました。

森永 若者の起業となると、在庫や財務のリスクが低いウェブ系の事業から始める人が多いです。その中で岡井さんはなぜ交通という分野、中でも「マイクロモビリティ」を選んだのですか。

岡井 せっかく起業するなら、10年後、100年後には社会のインフラになっているものを、と思いまして。卒業後も5人で夜な夜な集まっては、事業の構想を出し合っていました。

森永 青春ですね(笑)。

岡井 その中で、最初に立ち上げた事業は「介護士の派遣サービス」です。

森永 具体的にはどんなサービスですか。

岡井 スマホアプリで主婦や元介護士を呼んで、家庭の介護活動をお手伝いしてもらえるサービスです

森永 これはこれで、社会に必要なインフラになりそうですね。

岡井 ところが、やってみて気づいたのですが、介護士が駅から離れた訪問先へ移動するための手軽な交通手段がそもそもないんです。

森永 介護の課題を解決しようとしたら、その手前にある「移動」の課題にぶつかったと。

岡井 調べていくうちに、日本の都市構造そのものに課題があると気づきました。日本では鉄道網が発達し、駅の周りを開発する形で都市化が進んでいった歴史があります。駅前は便利だけど、少し離れると移動の選択肢が一気に狭まる。駅から離れた場所の利便性を高めるサービスが日本では必要だ、と考えたんです。

森永 そこで、マイクロモビリティに注目したのですね。

岡井 そうなんです。結果、小型で一人乗り、かつ全ての年齢層が利用できる電動のモビリティを街中に配備するのが日本の交通事情には適切だ、との発想に至りました。

森永 そういえば、昔は「セグウェイ」なんかもありましたよね。

岡井 そうですね。でも当時で100万円前後したので普及しませんでした。電動キックボードなら安くて3万円から購入できます。

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