カルチャー

「五輪が取り持つ恋」もあり:近代五輪と欧州王室

2021年7月23日

いよいよ今日、開会式を迎える二度目の「東京五輪」。開会を宣言するのは天皇陛下である。君主制を維持する諸国においては、五輪と王室の関係は切っても切れないほど深い。大半の競技が無観客となり、予定されていた各国の王族を含むVIPの来日もキャンセルが相次ぐ今回の東京大会を機に、改めて五輪と王室の歴史を振り返る。

 

女王陛下の007

 「こんばんは、ボンドさん!」。机に向かって書き物をしていた淡いピンクのドレスに包まれた老婦人が突然振り返り、笑顔でこう挨拶した。会場に鎮座まします大スクリーンに映し出されたその姿を見て、数万の観客がいっせいに大歓声を上げた。

 これは2012年7月のロンドン五輪開会式での一コマである。それまで会場では中世の農村が産業革命で様変わりするイギリスの歴史を演劇のかたちで披露していたが、場面が一転して大スクリーンにバッキンガム宮殿が映し出された。6代目の「ジェームズ・ボンド」ことダニエル・クレイグが007を演じ、ロンドン名物の黒塗りタクシーに乗って宮殿に到着し、女王陛下の執務室へと通され、上記の老婦人に面会する。この老婦人こそ誰あろう「本物」のエリザベス2世女王陛下だったのだ。

 その後2人はヘリに乗って会場へと向かい、007シリーズの最新作(当時)『スカイフォール』にあやかってスタジアムへとスカイダイブしたのである。もちろんこれはスタントマンが演じたが、その直後、「みなさんエリザベス2世女王陛下です」と会場にアナウンスが。そこに夫君エディンバラ老公を伴った女王が画面と同じ服装で現れ、万雷の拍手のなか、オリンピックの開会宣言に臨んだのだった。……

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