今年2021年はロシア最大の文豪フョードル・ドストエフスキーの生誕200年、没後140年の節目の年だ。ドストエフスキーは日本でいえば江戸時代に生まれた人物ということになるが、とてもそうは思えないほど、その作品は変わらず読まれ続けており、解説書の出版も後を絶たない。一体なぜなのだろうか。
元外交官で長くロシアに駐在した作家、佐藤優氏がドストエフスキーの長編作品のポイントを読み解いた著書『生き抜くためのドストエフスキー入門』をひもとくと、ドストエフスキーが現代の資本主義や格差社会の陥穽、さらにはアジア発の疫病の流行などを予言しており、その価値は今日においても、ますます高まっていることがわかる。同書を再構成してお届けする。
ドストエフスキーは「危機の時代」の作家
2021年はドストエフスキー生誕200年にあたります。200年前、1821年といえば日本では文政4年、まだ江戸時代ですから、ずいぶん大昔に生まれた作家だなという感じがしますね。ちなみに夏目漱石が1867年生まれ、森鴎外が62年の生まれになります。
そんな昔に生まれたドストエフスキーの小説は、いまだに世界中の人びとに読まれているし、きっと今から100年後にも変わらず読まれているに違いありません。時代を超えたその魅力は一体どこにあるのでしょうか? そして100年前でもなく、また100年後でもなく、現代の日本に生きる私たちはどんな意識をもって読めばいいのでしょうか? そんなことも一緒に考えてみたいと思います。……