政治

増加に転じた貧困層と立ちすくむポスト「対テロ戦争」の開発援助

2022年1月11日


<span>増加に転じた貧困層と立ちすくむポスト「対テロ戦争」の開発援助</span>

増加し続けていた世界の開発援助は、大国の疲弊に新型コロナの追い打ちでブレーキがかかる傾向に。一方、世界各地での紛争の頻発は、増え始めた貧困層への人道支援を停滞させる。

 2021年も継続した新型コロナ危機の中では、アメリカのアフガニスタン完全撤退に象徴されるように、疲弊度を高めた国家の政府が軍事行動を抑制しようとした傾向もあった。その一方で、エチオピアのティグレ州をめぐる紛争のように、連邦政府の統治の脆弱化に伴って始まった大規模紛争もあった。2021年に各地で頻発したクーデターも、中央政府の統治の脆弱化と連動していると言うこともできるだろう。

武力紛争の増加と国際平和活動の低下

図1:過去10年間の武力衝突事件数の推移
図2:過去10年間の武力衝突事件に伴う犠牲者数の推移 (出典:図1・図2ともにThe Armed Conflict Location & Event Data Project

 図1・図2を見てもわかるように、武力紛争発生件数でも犠牲者数でも、2010年代の後半の数値が非常に高い。あえて言えば、2018年頃の水準と比べて2021年がより高かったわけではないが、2010年代前半までの時期と比べれば、依然として極めて高い水準にある。

 シリアを中心とする、中東での武力紛争が甚大な数の犠牲者を出していることと、アフリカのサヘル地域などにおいて、テロ組織と認定できる暴力集団の活動が激しくなっていることが、背景にある事情である。

 武力紛争に対応する国際平和活動は、21世紀に入ってから飛躍的な拡大を見せた。ただし、実際には2010年代半ばから新規の国連PKO(平和維持活動)が生まれていないどころか、予算・人員が2割以上の削減になっていることからもわかるように、ここ数年は息切れ状態が続いている。……

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