政治

自衛隊最高幹部が語るウクライナ戦争(第1部/下)――ウクライナの戦いから我々は何を学ぶべきか

2022年6月8日


<span>自衛隊最高幹部が語るウクライナ戦争(第1部/下)――ウクライナの戦いから我々は何を学ぶべきか</span>

伝統的な軍事大国とみなされてきたロシアの陸軍は、想定外の弱さを露呈した。しかし本当の恐怖は、ロシア軍の弾薬が尽きたとき、プーチンは核のスイッチに指をかけるかもしれないという点にある。(こちらの第1部/上から続きます)

「力には力」が国際政治の本質

岩田清文(元陸上幕僚長):皆さん、ありがとうございます。私からは陸上作戦の観点も含めて、ちょっと長くなりますが7点ほど、なるべく簡潔にウクライナ戦争から得るべき教訓を話したいと思います。

 一つ目は国際社会の結束の重要性です。今回、やはり国連は機能しないということが再認識された。安保理の改革は絶対にやらなければならないことを、世界は認識したのではないかと思います。逆に、アメリカ・NATOを中心とした自由主義連合諸国の結束の重要性を確認できた。経済制裁には遅効性があると言いつつも、かなり効いてきてるのではないかと思いますし、武器・弾薬のウクライナへの支援は加速されていると思います。開戦から2カ月以上たった今、武器・弾薬がどんどんウクライナに届いていますけども、自由主義諸国が連携してウクライナのニーズに応じた武器・弾薬を適切に、スピードを上げて支援していることが、ロシアに対して非常に効いていると思います。

 二つ目が、アメリカの指導力と台湾防衛の関係について。今回のウクライナには同盟国がない。しかし台湾の場合、同盟はないけども一応アメリカの「台湾関係法」があるし、先ほど兼原さんがおっしゃったように、自由主義陣営の一員です。先般、安倍晋三元総理が、これまでのアメリカの台湾防衛に関する曖昧戦略について、こういう状況のときは明確に防衛意思を示すべきではないのかと仰っていましたが、全くその通りで、日本も台湾に対して明確な姿勢を示すべき時期に来ていると思います。

 今回のバイデン大統領の指導力には非常に問題がありました。兼原さんがよく言われるように、外交交渉には常に全てのものをテーブルの上に置いて「何でもやるぞ」という姿勢で臨むべきです。そういう外交の本質を、バイデンは何もやっていなかった。最初から、軍事派兵はしない、第3次世界大戦が怖いからやらないと。こういった態度が、プーチンに侵攻の動機を与えてしまったと思います。……

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