本稿「(上)」では、米軍の対中シフトは各軍種とも方向性を同じくしていることを指摘した。しかし一方で、これらの構想は、まだ装備の完成や現実の部隊配備という形では十分に結実していない。
その原因と、各種構想が今後どのようなタイムフレームで実施されていくかを分析するに当たっては、主に次の3つのポイントを押さえる必要がある。
米軍の戦力見直しのタイムフレームと課題
■押さえるべき「3つのポイント」
第1に、新たな戦い方や部隊に必要な装備品の開発が間に合っていない。ロシアとのINF(中距離核戦力)禁止条約により、米国は長らく射程500~5500キロの地上発射型ミサイルを保有してこなかった。同条約の失効後は開発を本格化させたが、陸軍のLRHW、PrSM、MRCや海兵隊のNMESISの運用開始は2023年以降とされる。また、2022年に製造契約が報じられた陸軍・海兵隊の地上発射型トマホークは、完成まで数年は要するだろう。海軍の無人艦艇も、XLUUVは現在建造中、LUSV は2025年度から建造予定、MUSVはまだ具体的建造時期の予定が示されていない。海軍としては、LUSVとMUSVについて2027~2028年頃を艦艇部隊への配備時期と見ているようだが、それでも運用開始までまだ5年は要する[9]。
第2に、インド太平洋地域における地上発射型ミサイルの配備先が決まっていない。CSBAの2019年報告書は、第一列島線沿いにミサイル部隊等を配置することを提言しており、米陸軍のMDTFや米海兵隊のMLRはこれに該当し得るものである。しかし、陸軍は欧州、米本土、ハワイに各1つのMDTFを新編したものの西太平洋には配備しておらず、ハワイの部隊が恒常的に置かれるかも不明との報道がある。また海兵隊MLRについては、上記の通り3個連隊のうちハワイに一つ目のMLRが編成され、あと二つの配属先は沖縄及びグアムとして、2030年までには本格運用と伝えられたが、これも正式に決まっているわけではない。……