Foresight誌上で「鄧小平の入院」をスクープした藤田洋毅氏が亡くなった。
その記事は、まだ紙のB5判で刊行していたForesightの1993年2月号に掲載された(「ポスト鄧小平の時代が始まろうとしている」)。中国の最高実力者である鄧小平は、少し前に第一線は退いていたが、江沢民体制に隠然たる影響力を有していることは間違いなく、その人物が「入院」したとなれば、紛れもない世界的スクープだ。
情報は、藤田氏の長年の情報源からもたらされた。北京市の西部にある「人民解放軍三〇一医院」にわざわざ増設された高級幹部用の「南楼」の最上階に、鄧小平が入っている、というのである。
まだSNSなど影も形もない時代、この大スクープが世界に知れ渡るには、半年以上を要したという記憶がある。すぐに大騒ぎとはならなかったのだ(『週刊新潮』は特集記事を出してくれたが)。何しろ、海外メディアを含めて他が追随しようにも、事実を独自に確認できない。その難しさは、現在の習近平体制の中国と同様であり、こと鄧小平の動静に限れば、いま以上に知りようがなかったのだ。……