ぶぶ漬けはいつ出されるのだろう……。京都人の“いけず”に怯えながらも職人たちへのヒアリングを終え、「伝統工芸レッドデータブック」は完成した。これによって茶道や花街といった無形文化と、そこで使われる伝統工芸品、さらにその原材料との繋がり=ネットワークが可視化され、共通の課題と解決策を見出すことができるのではないか。調査を通じて京文化の奥深さを再認識した筆者は、「繋がり」こそが文化の本質との仮説にたどり着く。
※※※
伝統工芸品を取り巻く状況への理解が徐々に深まっていき、いよいよ職人の方々に直接話を聞きに行こうという段階になっていた。ありがたいことに、沢山の人が調査に関わってくださった。本業や「桃太郎プロジェクト」(https://www.fsight.jp/articles/-/50266)を抱えながらの参画だったため、最初に「私が伝統工芸マップを作ります」と宣言してから、既に1年半が経過していた。
しかし、ここからがさらに大変だった。折に触れて、様々な人に「京都の伝統工芸を調べたい」という話をして回っていたお陰で、「絶対に無理! やめた方がいい!」という助言を頂き凹んだことも数知れず。彼ら曰く、「京都の人は難しい。何を考えているかわからない」「自然に“いけず”をするから気をつけろ」。京都人にまつわるインターネット上の記事を引用しながら、いかに京都が大変な街かを説明してくれる人も現れた。……