2012年に発足した第2次安倍政権は、戦後の「成功物語」と惰性に向き合わなければならなかった。外に米国主導の国際秩序と理念が大きく揺らぎ、国内ではデフレと人口減少が進む中で、日本が新たな環境をサバイバルするには「戦後を終わらせる」ことが絶対条件になっていた。
そのために安倍が貫いたリアリズムは、社会に「分断」を生んだとも批判される。しかし、それは「戦後」の遺構と次代の国家像との間に走った避けがたい亀裂という側面もあっただろう。船橋洋一氏の新著『宿命の子 安倍晋三政権クロニクル』(文藝春秋)が描く2010年代という日本の巨大な転換期を、元米国家安全保障会(NSC)アジア上級部長のマイケル・グリーン氏が解説する。
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安倍晋三政権時代という日本の変革期を記録した船橋洋一の新著『宿命の子』は、国際舞台で深い尊敬を集めると同時に日本国内では多くの論争も呼んできた指導者の姿を描くノンフィクションとして、世代を超える決定版というべき作品だ。……