※本稿は「週刊新潮」2018年5月17日号に掲載された特集を元に再構成したものです。また、年齢や肩書、年代表記等は当時のものです。
部屋の中に次々と運び込まれる「段ボールとピン札」
〈田中角栄のカリスマは、金を最大公約数とし、最小公倍数に、彼の実人生上の神話がある〉
長らく角栄の金庫番を務めた愛人、佐藤昭女史をルポした『淋しき越山会の女王』(中央公論新社)の中で、著者の児玉隆也はそう書いている。
今年は角栄が生まれてから100年、死去してから25年の節目に当たる。幾星霜を経ようと、その栄光と転落の75年の人生が色褪せず、折に触れて「角栄ブーム」が起こるのは、人々がそこに神話めいたものを見出しているからだろうか。自らの才覚と器量で頂まで上り詰めた今太閤。しかし、何より彼をカリスマたらしめていたものは、児玉隆也が書いた通り、金に他ならない。しかも、誰彼かまわず、ただ金をバラまいていたわけではなく、そこには「哲学」があった。……