強硬派の中国WTO大使は“クビにされた”と煽る
英エコノミスト誌(10月25日号)は、米国と中国のバスケットボール選手が頭上のボールを奪い合うイラストをカバーに使った。伸ばした手が地球を象ったボールに届きそうなのは中国だ。実際、中国は両国の貿易戦争で優位に立つ。半導体や自動車産業に不可欠なレアアース(希土類)の採掘で世界シェアの約70%、精製で約90%を担っており、交渉の主導権を握っていると目される。
その中国では、通商交渉を担当する李成鋼氏が、世界貿易機関(WTO)常駐代表(大使)という“前職”から解任された。ロイターが新華社の報道を基に10月20日に伝えた記事は、解任を「removes」と表現している。同記事中にも「4月に国際貿易交渉の首席代表に任命されており、今回の人事は習近平国家主席が承認した直近の大使級人事異動の一環」とあるように、すでに別のポジションを任命されている李氏の人事は既定方針に沿ったものだが、追随して報じたニューズコープ傘下のタブロイド紙、ニューヨーク・ポストが「解任(fires)」との言葉をヘッドラインに使用するなど、米国ではクビ扱いされている。
背景にいるキーパーソンは、スコット・ベッセント米財務長官だ。ベッセント氏は10月15日、中国のレアアース輸出規制をめぐる発言の中で、李成鋼氏を「非常に無礼だ」と批難した。前出ロイター記事で証言している匿名の関係者は、李氏が8月28日にアポなしで訪米し、高官協議を要求してトランプ政権の反感を買ったと述べている。ベッセント氏も別の会見でこれに言及し、「常軌を逸した(unhinged)」行動だったと述べている。……