河野龍太郎『日本経済の死角――収奪的システムを解き明かす』(ちくま新書、2025年)
生産性というフレーズを耳にした時、「日本は欧米に劣後している」という印象を抱く日本人は非常に多いだろう。本書は冒頭からその思い込みを喝破する。
過去四半世紀、米国は50%の生産性上昇に対し25%の実質賃金上昇を経験した。ドイツは25%の生産性上昇に対し15%弱の実質賃金上昇、フランスは20%の生産性上昇に対し20%弱の実質賃金上昇だった。そして日本は、30%の生産性上昇に対し実質賃金上昇はゼロであった。
生産性の低迷は日本経済の宿痾のように指差され、上がらない賃金の真因だと多くの日本人が自責の念と共に考えていた。だが、生産性の上昇率自体は、日本は米国には劣後するものの、ドイツやフランスには負けていなかった。……