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トランプ大統領の発言とアクション(1月14日~23日):ベッセント「日本の債券市場に6シグマ」発言からの「レートチェック」で「消費税減税」はNGに?

2026年1月24日


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トランプ大統領と政権キーパーソンから飛び出した発言を、ストリート・インサイツ代表取締役・安田佐和子氏がマーケットへの影響を中心に詳細解説。▼対欧州関税は話題の「トランプ関税プレイブック」通りに展開▼欧州が保有する米国債の“威力”が浮き彫りに▼ベッセント財務長官が「6シグマ発言」に込めた日本への警告▼レートチェックの代償は「日銀の利上げ」と「消費税減税の見送り」か

 

対欧州関税は話題の「トランプ関税プレイブック」通りに展開

 ドナルド・トランプ大統領は1月16日、米国によるグリーンランド領有に反対する欧州諸国に対し関税発動を示唆。翌17日には、2月1日からグリーンランドを自治領とするデンマークや独仏英など欧州8カ国に10%の関税を課すと発表した。欧州連合(EU)は報復関税に加え、ITサービス規制や投資制限を含む「反威圧措置(ACI)」の発動も検討した。

 その間、トランプ氏はマーク・ルッテ北大西洋条約機構(NATO)事務総長やエマニュエル・マクロン仏大統領とのショートメッセージのやり取りを公開したり、グリーンランドに星条旗を立てる画像を投稿するなど、市場の不確実性を一段と高めた。結果、1月19日のキング牧師記念日の休場を経て、1月20日に米国市場はドル安・株安・債券安のトリプル安に直面した。米10年債利回りは一時4.313%と、2025年8月以来の水準へ急伸。デンマーク職域年金基金がトランプ政権の信用リスクを理由に、保有する1億ドル相当の米国債を売却する方針を表明したことが材料視された。欧州大手運用会社アリアンツ・グローバル・インベスターズの債券部門の最高投資責任者が、トランプ政権にグリーンランド領有を撤回させるべく、欧州当局者は市場の混乱を煽るべきだと主張したことも話題になった。

 もっとも、同日に世界経済フォーラム(ダボス会議)に登場したスコット・ベッセント財務長官は「事態をエスカレートさせないでほしい。トランプ政権には戦略がある」などと発言(詳細は後述)。続いて、ダボス会議に現れたトランプ氏は1月21日にルッテ氏と会談後、あっさりと関税発動を見送った

 こうした、トランプ政権が相手に圧力をかけてから合意に至るまでのプロセスには、一定のパターンがあると指摘するのが、100万人超のフォロワーを抱える金融ニューズレター” The Kobeissi Letter“による”トランプ関税プレイブック“だ。このプレイブック(戦術マニュアル)は、トランプ氏には金曜日に関税発動を示唆あるいは発表する傾向があると指摘する【チャート1】。

 確かに今回、欧州8カ国への関税が発表されたのも金曜だ。合意までのパターンに沿うケースとしては、たとえば2025年5月23日の金曜日、トランプ氏がEU(欧州連合)に対して50%関税の発動を打ち出し圧力を掛けたことが挙げられよう。この時は、2日後にウルズラ・フォンデアライエン欧州委員長との電話会談後に関税発動を延長、結局は貿易合意に至っている。

【チャート1:“トランプ関税プレイブック”の主なポイント】 出所:The Kobeissi Letter、各種報道などよりストリート・インサイツ作成
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欧州が保有する米国債の“威力”が浮き彫りに

 ただし、“トランプ関税プレイブック”に頼らずとも、トランプ政権の関税見送りは3つの理由で予想できた。1つ目に、欧州8カ国への関税措置の根拠法が明確でなく、国際緊急経済権限法(IEEPA)を活用するにしても、米連邦最高裁判所が違法と判断する可能性があった。2つ目に、中間選挙への影響がある。有権者はこの関税措置がインフレにつながるとみなしかねない。共和党支持者ですらグリーンランド領有への賛成意見は52%程度という中で、このリスクを冒すのは賢明ではない。……

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