「3つのM」と原油ショックの連鎖がもたらす打撃
「資源リスクが軍事的な成果の価値を上回り始め、紛争の結末は“3つのM”に左右される」――JPモルガンのストラテジスト、ファビオ・バッシ氏は、2月28日に開始した米・イスラエルのイラン攻撃についてこう指摘した。3つのMとは、市場(Markets)、弾薬(Munitions)、そして中間選挙(Midterms)である。
ドナルド・トランプ大統領は3月2日、イランへの軍事作戦について4~5週間、長期化にも対応可能」と述べたが、バッシ氏は長期戦に明確な制約があるとみる。
まず市場だが、「TACO:Trump Always Chickens Out(トランプ氏はいつも日和る)」の言葉に象徴されるように、これまでも株安や金利上昇に反応して強硬姿勢を緩めてきた。今回、そこに原油高が加わった格好だ。WTI原油先物が一時119ドルと2022年6月以来の高値をつけた直後、S&P500は2025年11月以来の安値をつけ、米10年債利回りも約1カ月ぶりに4.2%へ上昇。原油発の市場の緊張に反応したのか、トランプ氏はイラン軍事作戦の「終結が近い(very soon)」と発言した。停戦の兆しが見えない中での発言だっただけに、「TACOの再来」と受け止められたのも無理はない。
「ガソリン高」からの金利上昇
今回、新たに加わった原油高はガソリン価格を押し上げ【チャート1】、家計を圧迫する。インフレ懸念を通じて金利上昇→株安につながり、中間選挙にも逆風となる。米債券運用大手PIMCOは、エネルギー価格が20%上昇すれば、消費者物価指数を1%ポイント押し上げると試算している。120ドルヘ接近したWTI原油先物は2月27日比で78%も急伸となり、95ドル付近へ下落した直近でも40%超の上昇だ。……