舘ひろしへの直談判
黒川が舘プロに加入したのは4年前のこと。5歳から芸能活動を続けていたが、中学校入学を前に学業に専念するため俳優をやめることを考えていた。転機となったのは、2021年放送のBS時代劇『剣樹抄~光圀公と俺~』。その撮影の折に出会ったのが舘ひろしだった。黒川が第一印象をこう語る。
「剣樹抄で共演した時、舘さんとは1週間くらい撮影で一緒だったんです。現場で初めて会った時は怖そうな人だなと思って緊張しました。ある時にはバスローブで現場にいらっしゃったので“こんな人いるんだ”って」
黒川と舘の年齢差はおよそ60歳。言うなれば祖父と孫ほどの差だ。しかし緊張する黒川に舘は気さくに接する。
「朝、舘さんがやってきて“朝ご飯を一緒に食べよう”って話しかけてくれるんです。それで席に着くと、僕の食パンを焼いてブルーベリージャムを塗ってくれる。こんな子役のためにですよ。撮影中には食事に連れて行ってくださって演技についてアドバイスももらいました。舘さんはよく“役者は目だぞ”と言うのですが、僕に対して“目がいい” “それがあれば大丈夫だ”と言って褒めて励ましてくれました。子どもの自分に同じ目線で話してくれることに驚きましたし、それがすごく嬉しかったんです」
黒川は現場を共にするにつれて舘への尊敬の念を深めていく。そして、俳優引退を思いとどまり、ついには舘プロへの加入を”直談判“するに至る。
「舘さんと現場で過ごしていく中で、かっこいいなと思うと同時に一緒に話していて安心できたんです。舘さんともっと一緒にいたいなという気持ちになりました。それで、今考えると何を言っているんだって感じですけど、“事務所どこなんですか” “舘プロに入れてください”とお願いしたんです」
一時は受け入れをためらった舘も、手紙まで送ってくる黒川の熱意にほだされ最後には了承した。