<span>名作『ロングバケーション』30年 山口智子が語る「いま思い出す名場面」</span>
近頃はトーク番組でも活躍

名作『ロングバケーション』30年 山口智子が語る「いま思い出す名場面」

2026年5月21日

年上の奔放なヒロイン像、現実のように自然な会話など、当時としては画期的だった大ヒットドラマ『ロンバケ』。主演の山口智子さんが30年前を振り返り、これまでにはなかったほど詳細に、名場面にまつわるエピソードを明かした。あのシーンの知られざる裏側とは――。

最近、配信で『ロングバケーション』を見返した

<月曜9時から放映されるフジテレビ系『月9』の中でも名作と評される恋愛ドラマの一つが、1996年4月から放送された『ロングバケーション』だろう。今年放映30周年を迎えた通称『ロンバケ』は、平均視聴率が29.6%、最高視聴率は36.7%という驚異的な数字を記録し、「月曜夜にはOLが街から消える」という社会現象まで引き起こした。俳優・山口智子が演じるヒロイン・葉山南は、破天荒ながらも明るいキャラクターで多くの視聴者を魅了した。>

 番組が放映されていた当時は、怖くて直視できませんでした。自分の反省点ばかり見えてくるから。ジタバタ足掻いても、編集後はどうにもできない歯痒さです。ハリウッド映画に夢をいただいて大きくなったので、目指す理想と自分とのギャップに悶々としていました。

 でも最近、旅先で時間を持て余し、配信で『ロングバケーション』を見返してみました。ここまで時間が経つと、自分が演じているという意識が皆無で、何の先入観もなく思い切り楽しめました。まるで自分の娘か孫を見ているような気分で、「この若者、頑張ってるね」と、南のファンになりました。

 やっと今、『ロンバケ』という作品の素晴らしさを思い知りました。あの時代の華やかで大らかな気風や、青春の煌めきのキラキラ感がいっぱいで、眩しいくらい輝いていますよね。まさに、バブル期から次の新たな価値観へと移行しつつある時代で、テレビというお茶の間文化と、時代のエネルギーが見事に融合した、唯一無二の奇跡のような作品。作り手側だけではなく、テレビの前の視聴者の皆さんも一緒になって、共に作り上げた作品だと思います。

 放映日には早く家に帰ってテレビの前に座って、ドラマを通して日本中が思いを共有し合った。みんなの希望や夢の思いの濃さが、確実に作品の中に存在している。だからキラキラ輝いているのだと思います。

<31歳の葉山南は婚約者に逃げられ、モデルの仕事も落ち目。そんな彼女が7つ年下のピアニスト、瀬名秀俊とひょんなことから同居生活を送ることになる……というのが『ロンバケ』のストーリーである。瀬名を演じるのは人気上昇中だった木村拓哉。脇を固める俳優陣は、南の弟役に竹野内豊、その恋人役にりょう、南の後輩のモデルに稲森いずみ、瀬名の後輩に松たか子、ピアノの教え子として広末涼子。いずれも後年主役級となるキャストが揃っていた。

 結婚式当日、式場に現れない新郎を探すために、南は花嫁衣裳のまま飛び出し、往来を走っている。そんな場面から物語の幕が上がる。>

 花嫁衣裳で街中を駆け抜ける冒頭のシーンは、思い出深いです。六本木の交差点など東京のあちこちを、体力の限界まで走りました。文金高島田のカツラはすごく重いのですが、白無垢の裾をはしょって、瀬名のマンションの階段を、一段飛ばしに全速力で上ったりしました。本当によく頑張ったと思います(笑)。

大好きなのは「足の指」の話をするシーン

『ロンバケ』の舞台となる瀬名と南が同居するマンションは、取り壊す予定になっていた古いビルを丸ごと借り切って撮影しました。スタジオセットでの撮影もありましたが、当時の撮影方法は舞台のライブのような新鮮な緊張感がありました。たとえば10分間のシーンを、細かく区切るのではなく、カメラを数台セッティングして、通しで続けて撮影する手法。

 そうすると、二人の自然な空気感や、さりげない面白いセリフが生まれたりするのです。俳優の心の流れを途切れさせないように、カメラマンや音響さんなどの技術者が、絶対に撮り逃さないぞという緊張感と集中力で撮影してくださいました。

 一番心に残っているのは、マンションの部屋での、木村くんとの何気ない会話です。互いの上手くいかない人生について愚痴を言いながらお酒を酌み交わす。そんな何気ない日常こそ、かけがえのない愛しい時間だった気がします。

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