「真偽を見分ける」ことの不可能性
さまざまな情報があふれる今日の社会では、情報を鵜呑みにせず、「事実」かどうか見分けることが重要だと言われている。メディアリテラシー、ファクトチェックなどという言葉も身近なものとなった。
確かに、手に入れた情報の真偽をチェックすることは重要であり、実行すべきである。ネット上で見かけた情報は鵜呑みにすべきではない。ただし、「真偽を見分ける」という考え方には、いくつか問題がある。
まず、すべての情報をチェックする時間はない。私たちは日常生活のなかで、マスメディアだけでなく、ネットからも、そして知り合いからも直接、さまざまな情報を入手する。それを一つ一つチェックするのは現実的ではない。なので、通常チェックの対象とするのは、「これ本当?」と自分が疑問を感じたものや自分にとって重要度の高いものだ。言い換えれば、自分にとってもっともらしいものや重要でないものについては、わざわざチェックすることはない。しかし、チェック対象とならなかった情報、言い換えるならば、自分にとってもっともらしく感じられる情報に、ウソがないとは言えないはず。むしろ、「もっともらしいウソ」だからこそ、信じて、友人に伝えたり、SNSに書き込んだりする。……