農林水産省がポストコロナに向けて、組織を大きく再編する。局長級の組織の改廃を伴う再編は2015年10月以来となる。吉川貴盛元農林水産大臣と鶏卵大手前代表による贈収賄事件を受けて農水省が設置した第三者委員会(座長・井上宏弁護士)は今月3日、検証報告書を公表し、「政策がゆがめられた事実は認められなかった」と結論付けた。一連の事件で人事異動を行う更迭などは行われず、「身内に甘い調査結果」と再度、批判を受けただけに、新体制のPRに躍起だ。
今年7月に新設されるのは、「輸出・国際局」や「新事業・食品産業部」だ。政府が成長戦略の柱に位置付ける農林水産物の輸出拡大に向け、輸出に関係する複数の部署を統合するなどして体制を強化する。同省幹部は「ポストコロナを見すえた動きで、輸出のさらなる拡大や国内農業の生産基盤の強化を支援する」と話す。
政府は2030年までに輸出額を5兆円に増やす目標を掲げているが、20年の輸出額は9217億円にとどまっている。「輸出・国際局」は、輸出関連施策の司令塔として省内を横断的に指揮、指導するとともに、対外関係や国際協力などの業務の全体的な調整を一元的に行う。ワクチン接種が進めば経済活動も徐々に再開される。それをにらんでの再編でもある。新局長には同省で国際交渉を担当する大臣官房国際部なども含め、局長ポスト待機組からトップの官僚が起用されるとみられている。
コロナ禍にありながら、同省には昨年4月、5兆円の新輸出目標の達成に向け、政府全体の司令塔機能を持った「農林水産物・食品輸出本部」が発足した。輸出・国際局は輸出をさらに拡大していくため、省内の輸出関連施策を中心に直接実行していく。「新型コロナウイルス感染拡大の悪影響も懸念されるが、体制強化で目標達成を目指す」(同省幹部)という。……