20年にわたったアフガニスタン戦争が、大混乱の中で終焉を迎えている。「正しい戦争」という戦争目的をアメリカ社会が曖昧に支持し続ける中で、その実態は「タリバンを滅ぼし、治安を維持する」ための戦いから、「女子教育の権利」「成熟した民主主義」といった壮大な使命を達成すべきものへと、米兵の犠牲を拡大させながらなし崩し的に変貌していった。
2019年1月に刊行された国際政治学者・三浦瑠麗氏の著書『21世紀の戦争と平和』から、泥沼化するアフガニスタン戦争をめぐる世論と戦争目的の危うい関係について、一部抜粋・再編集してお届けする。
アフガニスタン戦争は「良い戦争」?
自衛戦争として戦われ、当初はほとんど異論を呈されることのなかったアメリカのアフガニスタン戦争を、正しい戦争の基準を照らし合わせて見ることにしよう。
バラク・オバマは2008年の大統領選で、初の黒人大統領として当選を果たした。オバマは同じ民主党のヒラリー・クリントン候補とは異なって、当初からイラク戦争に反対しており、撤退を訴えて頭角を現した。オバマ大統領は、2009年に就任すると早速戦争の見直しを進める。ブッシュ政権が、すでに大規模増派を通じてイラクの戦況を好転させる先鞭をつけて効果を上げつつあったため、その路線を事後承認し、撤退のめどをつけるよう指示を出した。しかし、アフガニスタン戦争については異なるアプローチをとった。……