政治

女性の解放者としての米国?――アフガニスタン戦争の欺瞞

2021年9月3日


<span>女性の解放者としての米国?――アフガニスタン戦争の欺瞞</span>
2001年、米連邦議会でブルカを着用して演説する、民主党のキャロライン・マロニー下院議員(『C-SPAN』HPより)

アフガニスタン空爆が開始された翌月の2001年11月、大統領夫人(当時)ローラ・ブッシュは「テロとの戦いは、女性の権利と尊厳のための戦いでもある」とラジオ演説を行った。だがこの戦争は、少なくとも4万7245人のアフガン市民の命を奪い、人々の生活基盤を破壊した。家父長制が根強いアフガン社会では、男性親族を失った女性の人生は苦難に満ちた。「女性解放の戦い」と正当化されたアフガニスタン戦争の欺瞞と陥穽。

 ジョー・バイデン米政権が、ドナルド・トランプ前政権がタリバンとの間で結んだ合意に基づき、アフガニスタンから駐留米軍の完全撤退を進めていた8月15日、首都カブールはあっけなくタリバンに制圧された。

 翌日行われた国民向けの演説でバイデンは、改めて米軍撤退の判断の正しさを強調し、次のように述べた。“米国は20年前、「明確な目標」をもってアフガニスタンに向かった。その目標とは、2001年に同時多発テロ事件を起こしたテロ組織「アルカイダ」が再び米国本土を攻撃しないようにすること、アフガニスタンがそのようなテロ攻撃の拠点とならないようにすることであった。そしてこれらの目的は達成された”と。

 しかし、このバイデンの発言にはご都合主義が含まれている。2001年、米国がアフガニスタンへの軍事攻撃を開始したときを想起すれば、決してバイデンがここで述べた「明確な目標」だけが抑制的に追求されたわけではない。アフガニスタンへの空爆が開始された翌月の2001年11月、米国務省はタリバンによる女性の抑圧について詳述した報告書「タリバンの女性に対する戦争(The Taliban’s War Against Women)」を公表し[1]、同日、大統領夫人(当時)のローラ・ブッシュはラジオ演説を行い、「テロとの戦いは、女性の権利と尊厳のための戦いでもある」と訴えた[2]

 このとき、「抑圧されたアフガン女性」の象徴とされたのが、ムスリム女性がまとうブルカだった。ニューヨーク州第12区選出の下院議員(民主党)のキャロライン・マロニーはブルカを着用して議会で演説し[3] 、タリバンによる女性への非人道的な扱いを列挙して、アフガニスタン攻撃を正当化した[4]。自分では声すらあげられないアフガン女性を代弁しているかのような演説であった。「フェミニスト・マジョリティ財団」など、主要なフェミニスト団体も「アフガン女性を解放するための戦争」に賛同した。同財団は、アフガニスタンにおける軍事行動を「希望の連合(coalition of hope)」とすら呼んだ。……

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