尖閣諸島や台湾は、アメリカの上下院議員の多くにとっては「遠い存在」でしかない。中国を念頭に置いた尖閣諸島や台湾の地理的、政治的な重要性を説明してもピンとこない議員が圧倒的に多いのが実情だ。しかし、米軍は議会の承認がなければ継続的な派遣ができない。菅義偉前総理が臨んだ先の日米首脳会談でも「台湾海峡の安定」が盛り込まれたが、国務省レベルまではスムーズに理解が得られても、この危機感が議会に浸透するまでには非常に時間がかかった。台湾海峡が同盟国である日本のシーレーンだと知っている議員はほとんどいない。さらに言うなら、韓国にとっては日本以上に大事なシーレーンである事実はこのこと以上に知られていない。
もはやアメリカはかつての超大国ではない。米軍がアフガニスタンから撤収する際、ジョー・バイデン大統領は、「自分の国を守らない軍隊とはともに戦わないし、命をかけることもない」と明言した。尖閣諸島も台湾も、日本は「自分のこと」として主体的に絵を描き、そこにアメリカを引っ張り込むという形が大切だ。日本は東シナ海の安全保障のあり方、とりわけ台湾有事において、どういう役割や責任を果たせるかが問われている。
9月11日、アメリカは台湾の求めに応じて、ワシントンDC にある台湾の在アメリカ代表機関の名称を「台北経済文化代表処」から「台湾代表処」に変更することを検討していると明らかにした。それに対して『人民日報』の下部組織で海外ニュースを中心とする『環球時報』は、社説で「許してはならない」「国家分裂法も適用する」と激しく批判した。
習近平国家主席の中国は、軍事力、経済力の面でまだアメリカに追いついていなくても、かなり近づいているという自信を持ち始めている。彼らは豊かになったと同時に軍事力を背景にした覇権主義を前面に押し出して、台湾や南シナ海における覇権意欲を隠さない。造成した人工島への軍事基地の設置に留まらず、南シナ海に向かって「空母キラー」と呼ばれる弾道ミサイルの射撃実験を行ったほか、国防法や人民武装警察法、あるいは海警法を改正し、自分たちの海洋覇権を拡大する動きを強めている。南シナ海に戦略原子力潜水艦を配置し、アメリカの首都であるワシントンDCに核ミサイルを打ち込むことを可能にする体制も、もうすぐ完成という段階に来ている。こうした劇的な状況の変化を我々は認識する必要がある。……