政治

ウクライナ侵攻で起きている「宇宙の武器化」の新たな展開

2022年4月6日


<span>ウクライナ侵攻で起きている「宇宙の武器化」の新たな展開</span>

ウクライナ軍の情報戦・心理戦に、宇宙からのインテリジェンス情報を「武器化」する米国の支援が大きな働きを見せている。またイーロン・マスク氏や米宇宙技術企業Maxarなど民間が、これを後押ししていることも見逃せない。経済安全保障推進法案、国家安全保障戦略を通じて、日本の宇宙システム管理の在り方も問われている。

スターリンクのターミナルは続々とウクライナに到着している(ウクライナのミハイル・フョードロフ副首相公式Twitter、3月16日投稿より)

 ロシアによるウクライナ侵攻は、多くの人が想定していたような、サイバー空間や宇宙空間で繰り広げられる情報戦や心理戦を含む「ハイブリッド戦」ではなく、いかにも古めかしい、戦車や装甲車による都市攻撃と、ミサイルによる無差別爆撃といった戦術が取られた。2014年に迅速にクリミア半島を占拠した時のような、内部に呼応する勢力もなく、また、ウクライナ北部、東部、南部と全域に戦線を広げ、目的のはっきりした軍事行動ではない、ウクライナ全土の同時掌握を目指すかのような大規模な作戦を展開することで、局地的な勝利を目指す「ハイブリッド戦」の方式を取ることはできなかったものと思われる。

 逆に、情報戦や心理戦で優位に立ったのはウクライナ側であった。ヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は連日、各国議会に登場してビデオ演説を行い、国際世論を味方につけた。それだけでなく、欧米諸国からの武器供与と情報協力を取り付け、大規模なロシア軍に対して携帯型対戦車砲である「ジャベリン」や、同じく携帯型地対空ランチャーである「スティンガー」などを駆使してその前進を食い止めた。また、西側メディアを通じてロシア軍の残虐な行為を示し、ウクライナ国民が涙ながらに諸外国へ避難していく姿を報じさせることで、完全に情報戦、心理戦でロシアを圧倒した。

 こうしたウクライナの情報戦を支えたのが、宇宙システムを通じたインフラの提供であり、戦時における通信の重要性と、宇宙からのインテリジェンスの有用性を改めて確認させることになった。ここでは、宇宙が戦時における「武器」としてどのように使われたのかに焦点を当てて論じてみよう。

イーロン・マスクが提供した「スターリンク」の活躍

 戦争が始まってすぐ懸念されたのは、ロシアがウクライナの通信システムを攻撃し、ウクライナからの情報発信が出来なくなることであった。開戦から3日目にはキーウのテレビ塔が攻撃対象となり、ロシアがウクライナの情報インフラを標的にしていることは明らかであった。……

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