政治

経済安全保障と経済制裁:新たな国際経済秩序の「表裏一体の盾と矛」

2022年5月16日

5月11日に成立した経済安全保障推進法は、日本が新しい時代の国際経済秩序に参画するうえで不可欠な道具立てだ。その本質と「四つの柱」、そしてまさにいまロシアに対し実行されている「経済制裁」との関係性を捉えておく必要がある。

 2022年4月7日に衆議院を通過した経済安全保障推進法案は、5月11日に参議院で可決された。衆議院では、経済安全保障の定義がなされていない、具体的な規制は政令で定めることになっており、明確な規制になっていない、といった批判を受けつつも、立憲民主党を含む野党の支持を得て通過した。

   与野党とも経済安全保障の概念を受け入れ、その必要性を認識しているが、果たして、この経済安全保障が、今後の世界をどのように変えていくのか、また、同時に進行しているロシアのウクライナ侵攻に対する経済制裁とどのような関係にあるのか、十分に議論が尽くされたとは言いがたい。

 ここでは、改めて経済安全保障とその推進法案に関する論点を整理し、具体的に法案がもたらす変化と、経済安全保障が作り出す新たな国際経済秩序がどのようなものになるのかを検討する。そのうえで、ロシアに限らず、これから経済的に他国に圧力をかける経済制裁という手段がどのように位置づけられるのかを検討してみたい。

経済は「手段」、安全保障は「目的」

 経済安全保障はしばしば「経済と安全保障が重なるところ」といった形で説明される。しかし、それは必ずしも正しいとは言えない。成立した経済安全保障推進法では、四つの柱が設定されているが、それらは経済と安全保障が別々に存在した上で重なっているのではなく、あくまでも経済は「手段」であり、安全保障は「目的」という位置づけになっている。……

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