政治

ウクライナ戦争が日本に突きつけた「人権国家」としての課題

2022年6月2日

対ロ制裁とウクライナ救済に迅速に動き、「行動」の外交へと踏み出した日本にとって、今後は「アジアの実力ある人権国家」として普遍的価値の体現が重要になると菅野志桜里氏は指摘する。ただし、そのためには「人権侵害制裁法(日本版マグニツキー法)」「人権デューデリジェンスの法制化」を筆頭に、「ジェノサイド条約」批准など課題は多い。(構成/名古屋剛)

日本の「行動」が評価されている

 2022年2月24日、ロシアの軍事侵攻により始まったウクライナ戦争において、日本は、アジアで最初にロシアへの経済制裁に踏み切り、また日本へ避難を希望するウクライナ人を強力に支援するなど、その貢献は国際社会から相応の評価を受けています。 

 ひるがえって、2020年6月の香港における国家安全法施行、あるいは2021年2月のミャンマーにおける国軍によるクーデター。当時の中国共産党やミャンマー国軍に対する日本政府の制裁や、弾圧された人々に対する救済は、極めて脆弱なものでした。

 当時私は国会において、「対話と協調」一辺倒の日本外交を「対話と協調と行動」の積極外交へと発展させるべきだと訴えていました。具体的には、人権弾圧を直接の理由とした資産凍結や入国禁止など弾圧者への迅速なピンポイント制裁を可能にして、中国共産党幹部やミャンマー国軍幹部、そしてその家族に圧力をかけるよう求めていましたが、当時の安倍晋三政権そして菅義偉政権の動きは極めて鈍かったのです。

 しかし、今回のウクライナ戦争において、ロシアへの制裁、そしてウクライナへの救済は、その速さと質と量において、人権外交の前進と評価すべきだと思います。また、古川禎久法務大臣が、ロシアによる戦争犯罪捜査について協力のニーズを把握すべく、国際刑事裁判所への検察官派遣を決めたのも的確迅速な判断でした。……

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