政治

サハリン・プロジェクトと日本の生き方:法と信義を貫くことにより日本の立場と主張を世界に示すべき

2022年8月9日

ロシアのサハリン2接収の動きに対し、あくまでにも法に基づく正当性をもって応じることは、エネルギー問題を超えて日本の生き方、国家としての「戦い方」を国際社会に示すことに繋がっている。相手の軍事力を見て威嚇しながら対応を決めるというロシアの自己本位的な姿勢が剥き出しになったいま、日本はエネルギーの自立性を高める一方で北方地域における警戒監視能力を格段に向上させなければならない。

 国家であれ個人であれ、社会の中に存在していく際、守るべき「すべ」は規範と信義である。規範とは法に基づく秩序を重んじることであり、信義とは信頼と誠意に基づいて行動することである。この「すべ」を尊重しない国家や個人は社会の中で尊敬を受けないどころか、いずれは他から疎外される結果となる。

 今日の国際社会が混迷と混乱に満ちた状況になっているのは、世界の軍事大国であるロシアと中国が自己の利益と目標を追求するあまり、この「すべ」を無視して自己中心的な行動を広げているためである。ただ、ロシアと中国の違いは、中国はこの「すべ」をある程度は守って今までのところ直接の軍事力行使を控えめにしているが、ロシアはこの「すべ」を守るどころか自制心を失い、我慢できなくなって全面的な軍事力行使に走っているところにある。

 つまり、このウクライナ軍事侵攻ほど国際社会の規範と信義に違反する行為はない。その影響は世界的な広がりを持ち、国際社会の政治・経済・外交・安全保障・エネルギー・食料など広範な分野にわたって重大な悪影響を与え、人間の倫理観をも冒涜した悲劇的な事態を招いている。多くの人が死に直面し、あるいは傷つき、苦しみ、嘆き悲しみに暮れている。しかも、このような状態を引き起こした国の指導者は自らを恥じることなく、むしろ一層、悪質な行動に出ているため、国際秩序の明るい展望は見えない。ウクライナ軍事侵攻が近現代における歴史的事件である理由はこの点にある。

日米欧の分断を狙うロシア

 ロシアは8月3日に石油・天然ガス開発事業サハリン2の事業を引き継ぐ新たなロシア企業の設立を決定したと発表し、5日には新会社が立ち上がった。6月30日にウラジーミル・プーチン大統領がサハリン2運営会社の株式を、ロシアが新たに設立する会社に譲渡するよう命じる大統領令に署名してから約1カ月で新会社ができたことになる。……

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