アメリカ史上最長となったアフガニスタンでの戦争。20年間の月日と巨額の資金を費やし多くの人命を犠牲にしたのち、タリバンの侵攻とともにアフガニスタン政府はあっけなく崩壊した。
本書は、アメリカのアフガニスタンでの戦争と国づくりのどこが間違っていたのか、歴代大統領のジョージ・W・ブッシュ、バラク・オバマ、ドナルド・トランプとその政権がいかに真実を国民から隠蔽し続けたかを、戦争に直接かかわった1000人以上の証言から解明する調査報道だ。ワシントン・ポストが情報公開法に基づく複数の訴訟により公開にこぎつけたこれらの記録は、本来は表に出ないことが想定されていた。それだけに、米国高官や司令官の告白は生々しく率直だ。
明確な戦略とゴールがないなか、最前線で命を落とし続ける米兵とアフガニスタンの人々。無秩序な援助により汚職文化がタリバン以上の脅威になっていくさま。現地の実情や文化を踏まえず迷走する国軍再建や麻薬対策など、エピソードはその光景が思い浮かぶほど具体的で、なかにはジョークにしかならないようなものもある。しかし、読み進めていくうちに、これらすべてが積み重なって、米軍の撤退に伴うタリバン復活は起こるべくして起きたことを肌で感じることになる。オバマ政権に副大統領時代から関わってきたジョー・バイデン大統領が、最終的に米軍のアフガニスタン撤退を実行し、その後のウクライナ危機に対して今の距離感を保っている状況は、アフガニスタンでの経験と無関係ではないだろう。
アフガニスタンで20年間に起きた全てが失敗だったわけでもなく、女性の権利や教育の拡充により若い世代が育ったことなど、本書のそもそもの目的ではないとして言及されていないことも多い。「ではアメリカはどうすればよかったのか?」という問いへの回答も体系的に提示されていない。しかし、随所に読み手自身が「もし、こうしていたら?」と考える場面はあるだろう。……