政治

サウジアラビア:首相就任で権力基盤を固めるムハンマド皇太子

2022年10月1日

サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマーン(MbS)皇太子が首相に任命され、名実ともに「指導者」の地位を固めた。その意味とは——。

 

 メディアから「事実上の指導者」と呼ばれるようになって久しいサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマーン皇太子が、9月27日に父親のサルマーン・ビン・アブドゥルアズィーズ国王が発出した勅令によって首相に就任した。国際的にはジャマル・カショギ氏殺害事件への関与疑惑が尾を引いているムハンマド皇太子だが、国内での権力基盤固めはサウジアラビアの歴史を紐解いても過去に比類ない程の盤石さで進められている。

王位の安定的な継承に資する異例の措置

 サウジアラビアでは1960年代より国王が首相を兼務することが慣例化していた。時の第二代国王であったサウード(1953-64)と、当時皇太子兼首相だった後の第三代国王ファイサル(1964-75)との間の政治対立が深刻化し、サウード王家内が二分する事態に発展した反省から、ファイサル国王以降は国王が首相を兼務して行政権を国王の下に掌握させる体制がとられるようになった。1992年に成立した統治基本法(事実上の憲法に相当)においても、「国王は閣僚評議会の長(=首相)となる」と規定され、法制度化している。

 したがって、今回ムハンマド皇太子が首相に任命されたことは、サウード国王時代のファイサル皇太子兼首相以来となるおよそ60年ぶりの異例の措置となる。国王の首相兼務を定めている統治基本法第56条は改正されず、あくまで今回の対応は例外措置であることも勅令には記された。……

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