ドイツ連邦政府は、現在新たな対中戦略を策定している。策定で中心的な役割を果たす外務省は、約60ページの草案をすでに経済気候保護省など関係各省や経済団体に送り、コメントを求めている。この戦略は、今年の第1四半期に公表される方針だ。
新対中戦略が作られる背景には、ロシアのウクライナ侵攻がある。ドイツは長年にわたりロシアに対して宥和的な政策を取った結果、2021年には外国から輸入する天然ガスの半分以上をロシアに依存するという、危険な状態に陥った。フランク・ヴァルター・シュタインマイヤー大統領は、「貿易によってロシアとの絆を深めようとした私の過去の政策は失敗だった」と率直に過ちを認めた。経済関係を最優先とし、ロシアの人権侵害や国際法違反を大目に見るドイツの「政経分離主義」は、失敗に終わった。
このためアンナレーナ・ベアボック外務大臣は、対ロシア政策の失敗を教訓として、中国についても新たな戦略を持つべきだと主張している。ベアボック氏が属する緑の党は、環境保護とともに人権問題も重視する。このため、ベアボック氏はこれまで新疆ウイグル自治区や香港での人権抑圧について、強い懸念を表明してきた。こうした対中批判は、連立与党3党が2021年11月に合意した連立契約書にも明記されている。
人権問題を中心に据える新対中戦略
新しい対中戦略の内容はまだ公表されていないが、草案の概要は外部にリークされつつある。新しい戦略のモットーは、「中国は変わりつつある。したがって我々も態度を変えなくてはならない」という意思表示だ。外務省は、中国との関係においては、新疆ウイグル自治区や香港における人権問題を、これまで以上に重視すると強調している。……