政治

【Analysis】トルコ南部地震でシリアのアサド大統領が手にする「政治的レバレッジ」

2023年2月12日

トルコ南部地震によるシリア北西部の被災者は400万人に上る。反政府勢力が支配するこの地域にとって国際援助は命綱だが、シリア政府はトルコ経由の物資供給に改めて反発。国際社会での孤立状態を打開したいアサド大統領が、これを政治的なテコとして利用する動きが注目される。

[ベイルート(ロイター)]シリアのバッシャール・アル=アサド大統領が、シリアとトルコの広域を襲った大地震を政治的に利用しようとしている。外国からの援助物資がトルコ経由でなく自国を経由するよう仕向けることで、国際社会で孤立する現状を打開しようとしていると、アナリストたちは見ている。

   2月6日に発生したマグニチュード7.8の大地震の被害を受けたシリアの人々に対して、世界中から同情の声が寄せられる中、シリア政府はこれを好機とばかりに、「被災地支援はシリア政府と連携せよ」という主張を繰り返している。

   西側各国はこれまでシリア政府の要求に応える様子はなく、アサド政権との関係を復活させようともしていない。だが、反政府勢力が支配するシリア北西部地域にトルコ経由で物資を届ける難しさのために、西側はアサド政権に歩み寄らざるを得ない部分もある。オクラホマ大学中東研究センター長のジョシュア・ランディスは、援助を梃子にシリア政府が「自らを正当化しようとしている」と語る。「苦しむシリアの人々に対して、アラブ諸国と世界から寄せられる善意に、アサドは付け込もうとするだろう」。

   シリア北西部400万の被災者にとって非常に重要な援助物資は、地震の後一時的に輸送が止められているが、国連高官は2月10日に再開できるのではないかと期待している。シリア政府は長らく、反政府勢力が支配する北部の飛び地への援助物資は、国境を越えてトルコからではなく、シリア国内経由で運び込まれるべきだと主張してきた。(編集部注:国連のグテーレス事務総長は9日、地震後初めてトルコとの国境を越えてシリア北西部に物資が届けられたと明らかにした)……

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