スーダンで2023年4月に軍事衝突が発生して以来、7カ月が経過した。しかし、現在も武力衝突は衰える兆しが見えず、事態はより深刻になっている。現在、何が起こっているのか、またこれは周辺諸国やアフリカ・中東地域にどのような影響をもたらすのか? 筆者は、2021年2月から2023年4月までJICA(国際協力機構)スーダン事務所長として滞在し、軍事衝突後、スーダンから退避した。スーダン滞在を通じて見えてきた世界、現地の人々と日本の関係にも触れつつ、今後、どのような対応が必要か述べることとしたい。
暫定政権樹立の最終段階で起きた国軍とRSFの軍事衝突
2023年4月、スーダン国軍と準軍事組織(RSF)の間で、軍事衝突が発生した。両者は、ともに政府の軍事部門であり、2021年10月にスーダンで起こった軍事クーデターでは、ともに協力し、当時の民主派勢力を排除した関係である。その後、この両者がスーダンの政治を実効支配してきたが、西側諸国はクーデター政権を認めず、また国家運営経験のない軍部の下、経済は混乱し、人々の不満は募る一方であった。国連の他、諸外国の仲介により、2022年12月、民主派と軍部で、民主化移行に向けた暫定政権樹立の「枠組み合意」がなされ、その後、正式合意実現の前提条件は、順次解消されていった。最後に残る課題は、「治安部門改革」であり、これは国軍とRSFの統合問題を意味した。
RSFとは、そもそも2003年にスーダン西部のダルフール地方で発生したダルフール紛争で、当時のオマル・アル=バシール大統領側に与し、ダルフールの村々を焼き、虐殺を行ったジャンジャウィードという武装グループが前身である。その行為が、バシール大統領に評価され、首都ハルツームに拠点を構え、2013年には「即応支援部隊(Rapid Support Force=RSF)」との名称を付与され、軍部の一翼を担う部隊となった[1]。
暫定政権樹立の前提条件であった国軍とRSFの統合問題は、国軍およびRSF双方にとって、将来の組織の形を規定する死活問題であった。2023年4月初め、国軍は「統合は2年以内に行う」と宣言したのに対し、RSFは「統合には10年は必要」と発表し、両者間の緊張は高まる状況にあった。……